2025年3月11日火曜日

CelticTuning(ケルティックチューニング)

 ということで、ECUチューン回です
487 PS 597 Nm???

どうしてこうなったのかわからないのですが、ECUチューンという無形商材に大枚払うのであれば、いっそ書き換えキットを自分で購入してECUチューンビジネスを始めるか…というシンプルな思考回路です。

それ以外にも様々な裏話があるのですが、施工時の時間潰しトークにご期待ください…。ビジネスパートナーから「オタクトークは万人受けしないからヤメロ!」と言われていますが、個人的にはECUチューンはそういう所も含めて楽しめるチューニングだと思っているので、興味があれば聞いてください。

そもそもECUチューンとはなんぞ?という話もあります。物凄くざっくりと説明すれば、加速時だけ多めに燃料を吹いてパワー空燃比12.6を実現しつつも、燃費重視になっているためすぐに理論空燃比14.7になる純正マップを、ほぼ全域パワー空燃比にして効率を上げるチューニングです。また、ターボ車はオーバーシュート時のブースト圧を2割ほど、最大ブースト圧は1割ほど上げる為、車種によっては40%以上の出力向上が見込めるものもありますが、耐久性を犠牲にするような単なるブーストアップでは無いというのがポイントです。

サブコンでも同じような最大出力が得られるから同じなのでは?という質問もよく受けます。一部特殊なサブコンもあり、M-Cantronic Gen IIのような例外はあるものの、多くのサブコンは単なるブーストアップです。純正マップの補正範囲を逆手に取って誤信号を出し、ブーストを上げて出力の向上を狙います。確かに低回転域のピックアップは良くなりますが、高回転域でタレたり、異常信号エラーが記録される事が多いのがネガです。

そして、◯◯のstage1は△馬力、□□のstage1は☆馬力みたいなデータ比較を我々はよくやりますが、理論値なのか実測値なのか、どう補正をしているのか、そもそも純正状態でカタログスペックの馬力が出ているのか…。数字に関してはあまり一喜一憂しない方が良いという結論に個人的には至っています。この辺りは施工時に突っ込んで聞かれたらベラベラ喋ります。

また、こういった話には必ず燃費や耐久性の議論が付き物ですが、ガソリンを多くバラ撒くので瞬間的な燃費は必ず悪化します。色々複雑な計算もありますが、こちらも物凄くざっくりと説明すれば、パワー上昇率=燃費悪化率だと考えてください。20%馬力が上がれば、燃料消費量も当然20%増しです。ただ、(速度にもよりますが)、定速で淡々と走る時の燃費は大きく悪化することは無い印象があります。これは、定速で走る際に必要な出力をより低回転かつ低アクセル開度で得られるようになる為、結果的に純正燃費と近しい所に落ち着いてくるイメージです。

合わせて、空燃比が変わる為、燃焼音が変わります。純正マップと比べると大人しい音になります。全体的に低音方向に音が変わります。施工すると、皆さん「乾いた音になるんですね」と言われる事が多いです。Pops&Bangsは出来ますか?とか聞かないでください。音だけで速くならない改造は他社でやってください。車を速くするマップは意外と静かです。

耐久性に関してもよく話題に上がりますが、圧縮比を変えたり、大きくブースト圧を上げるわけでは無い為、目に見えるレベルで耐久性が下がる事は早々無いと考えられます。もちろん、出力が上がる以上必ず機械への負荷は増える為、大きく出力が向上するターボ車はオイル管理頻度を上げる方が良いと思いますが、トルクアップによるフィーリングの向上がメインのNA車にとっては誤差レベルの負荷だと考えて良いと思います。30万km使えるエンジンが27万kmくらい使えるエンジンになる…というような考え方も可能ですね。ただ、やはり精神衛生上はオイル管理スパンを短くする方が良いように思います。ECUチューンを行う人はそもそも高回転を多用する人が多いハズなので、オイル管理は多少シビアになるはずです。

で、そんなこんなでALIENTECHのKess3というツールを導入しました。幾つか選択肢があったのですが、主に1998年頃~2018年頃の車に対応したツールを選んでいます。他社ツールは最新の車のセキュリティを無理やりオーバーライドして書き換える事が出来たりしますが、サイバーセキュリティ法に引っかかり、ディーラーで盗難車判定をくらう可能性があるのでKess3で書き換えが出来ない車には手を出さない方針を立てています。

Kess3の対応車種はこちらから確認出来ますが、掲載されていても読み/書きが出来なかったり、掲載されていなくても読み/書きが出来る例がありますので、まずはお問い合わせください。一回繋いで、行けるかどうか試してみましょう。https://www.alientech-tools.com/vehicles/



施工の流れは以下のようになっています。基本的に出張施工スタイルです。作業時間は速ければ1時間、遅くとも3時間くらいです。

①読み出し;読み出し時間は速い車だと2~3分、遅い車だとおおよそ1時間ほどかかります。

②ファイル転送;読み出したデータを英国CelticTuningのヘッドクオーターに送ると、30分前後でチューニングデータが届きます。日本時間18:00~2:00がヘッドクオーターの営業時間なので、夜施工させて頂けるのであれば1回で終わります。日中に作業する場合、読み出しと書き込みを2回に分ける必要があります。

③書き込み;こちらも速い車だと2~3分、遅い車だとおおよそ1時間ほどかかります。

*作業中は電源喪失を防ぐ為、電源(CTEK)をバッテリーに直接繋ぎます。ポータブル電源とCTEK買ったけど高いのね…


よく聞かれるチューニングレベルですが、非常に定義付けが難しいです。
一応、僕は以下のように区分けをしています。
stage1;ハードウェア完全ノーマル
stage1+;ハードウェアほぼノーマル(純正置き換えフィルター、車検対応スポーツマフラー、触媒レスetc)
stage2;給排気チューン(毒キノコ、大型インタークーラー、フルストレートetc)
stage3;タービン交換
stage4;ピストン、コンロッドなどまで交換したコンプリートエンジン+大型タービン
*他のお手軽チューニングとの最大の差ですが、車種によってスピードリミッター解除オプションも選択可能です。

出張施工ということもありstage1,1+,2に注力していますが、stage3,4もCelticTuningで提供出来なくは無いです。ただ、そこまで行くとハードウェアの交換もかなり大掛かりになってくるので、現実的では無いと思います。


また、TCUプログラムも書き換え可能です。DSGやPDKなどクラッチ制御があるATのプログラムが出来るので、シフト速度向上はもちろん、許容トルクがおおよそ10~20%ほど上がる(クラッチ圧着力が上がる)ので、半クラ領域が減り、結果的にクラッチの耐久性が上がるとされています。ジャダーが出始めた車への施工は相談してください。TCUプログラム単独での施工も受け付けています



と、ECUチューンについてあれこれ書きましたが、笑っちゃうくらいパワーが上がりますね。487馬力は頭おかしい。元々、0-100km/h実測3.5秒くらいだったのですが、ほぼ3秒フラットになります。純正マップだとトルクが垂れてくる所からトルクが盛り上がってくるのは最初ゾッとするレベルです。最大トルクは597Nmに抑えられているので、DSGのプログラムは純正のまま行けますし、TCUプログラム書き換えが必須な他社のマップよりもユーザーフレンドリーな印象を受けています。レブリミット変更も入るので7200回転くらいまで回るようになるのですが、個人的には6900回転くらいでショートシフトして乗るのが速い印象を受けています。そもそも直列5気筒はカチ回るエンジンでは無いので、トルクをどう活かして走るか…ですね。スピードリミッターも消えるので、300オーバーの領域まで行ける車になります。

ただ、ここまで書いておいて、自分はstage1から純正マップに戻してしまいました。後期型のTTRSは甲高い共鳴音がするのがお気に入りポイントだったのですが、どうやらこの音は理論空燃比の音()だったようで、完全に消えてしまいます。また、バブリングもしなくなるのでリアルGr.Bアウディサウンドになります。自分は速いからTTRSが好きだと思っていたのですが、AudiSportsが作った世界観が好きなんだなぁ…というのを再確認する面白い機会になりました。エクストリームモデルはノーマルの世界観の方が面白いのかもしれませんね。


とはいえ、ECUチューン、トルクモリモリ&パワー炸裂するので面白いです。どっちの面白さを取るかは一緒に考えてみましょう。
問い合わせはこちら→https://nccarparts.official.ec/p/00001

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