2022年3月末に生産終了と言われているTT
2022年3月初頭にラインオフしたほぼファイナルモデルのTTRSです。
と、思ってたら普通にMY2023の受注が始まってて何なん???
(噂では受注分全キャンセルになったとか…)
*僕の車では無いのであしからず
元々、S5カブリオレに乗っていたため、RS5カブリオレへの乗り換えを提案していたのですが、アウディは今後収益化することが非常に困難であるカブリオレモデルの生産を縮小していくことが決まってしまっており、乗り換える車が見つからない事案が発生しました。
*そもそもF5系では前期型からRS5カブリオレは用意されていなかったんですね。てっきり出ているものだと思っていたら、そもそも全世界的に無かったようです。8F系の4.2L自然吸気モデルでしかRS5カブリオレは無いということです。
また、F5前期型から後期型へのマイナーチェンジは正常進化で良かったのですが、ナビがタッチパネルになったことにより、MMIのコントローラー部分が小物入れに変更されたポイントがあまりにショボい改悪だったことは本当に酷いと思っています。
*後期型/前期型:シフトレバー前方の小物入れ/MMIコントローラー
MMIコントローラーが無くなったり、実質的に何も変わらなかったなど、オーナーを舐めているような内容が多数見受けられた為、RS25周年記念車良いじゃんというテンションだったものの、急激に購買意欲が落ちてしまいました。アルカンターラ嫌いってのも大きい問題でしたが、機械的な話はS5カブリオレの投稿に詳しくまとめています。
*AudiMediaCentreでの公開スケルトンも全く同じですね
また、駐車場の関係で横幅1850mm以内に抑えたかったというポイントも大きく、RS4アバント(1865mm),RS5クーペ/SportsBack(1860mm)は微妙にサイズオーバーすることも無視出来ないポイントでした。(S5カブリオレは全幅1845mmとギリギリのサイズ。)
このタイミングで候補に挙がったのはアルピナのB3でした。全幅1827mm、最高速300km/hオーバーというのは条件にマッチ+ロマン的にも最高という判断で、金額的にもRS4/5より多少高くなるものの下取り価格やメンテナンスコストを考えたら十分検討の余地がある状況でした。が、中々縁が無いものですね。何回か試乗させて頂き、皆大変気に入ったので予約金の準備もしたのですが縁がありませんでした。難しいですねぇ…。
で、振り出しに戻った所、たまたま訪れた横浜のアウディみなとみらいにTTRS "RS 25 years"が置いてあり、初めてMk3後期型の現車を確認することが出来、「これが実はかなりの正解なのでは?」という話になったわけです。
・横幅1850mm以下(1830mm)
・北米用VWのエンジンがベースではあるものの、純アウディエンジン
*RS4/5のエンジンはポルシェのマカンターボに搭載されており、あの値段を出すならマカンターボも選択肢に入ってくるという話になりました。(が、全幅1923mmで無理なんですけどね…ええ…)
*初期ガヤルドの5リッターV10を半分にぶった斬ったエンジンです。
*<追記>北米VWのエンジンがベースになっていたのはMk2の鋳鉄ブロックのエンジンであり、このエンジンはガヤルドベースと言ったほうが正しいようです。
・モデル末期で今後新しいTT、はたまたクーペタイプのスポーツカーはAudiから販売されることは無さそう
・現行型RS4/5,6/7,Q8などに採用されているバーグラフ型のRSモニターが採用されておらず、クラシックな円形タコメーターでRS表示が可能。バー型ってどうしても馴染まないイメージがあります。
・操作系が全てボタンスイッチ。タッチ式のUIはe-tronで採用されないなど、Audiも対応に困っているようですが、正直使いにくいので辞めて欲しい所です。
と、後部座席の使いにくさもギリギリ許容範囲内(身長165cmの僕もギリギリ座れる)ということで、3人乗れないと困るというポイントもクリア。メーカーは145cm以下の子供向けシートと案内していますが、痩せている人であれば165cmくらいまでは座ることが可能です。
そんなこんなで2021年9月にオーダーを入れたのですが、コロナウイルスによる工場稼働停止と半導体不足により納期がかなりズレ込みました。当初3月納車だった予定が4月末納車になった程度で済んだ+オーダーしたOPは全て通った+MY22は鍵が1本しか付属しないはずだったのに2本付属していたという3点は非常に幸運だったと思っています。
外装はスズカグレー+マットアルミニウムフィニッシュ+純正19インチホイールという非常に珍しい組み合わせです。テーマはPlain but Bright.つまり、地味派手です。
Mk2のTT RS plus Coupeに設定されていたスズカグレーですが、Mk3では採用されていません。元々はR8/RS限定色でありながらも極稀に限定車に採用される色であり、光の当たり方によって発色が変わる為、Mk3TTにもマッチすると判断しました。個人的には暗い所で見た時の発色がとても良いと思っています。スズカグレー+ブラックフィニッシュ+OP20インチホイールという個体は国内に居るようです。
内装もかなり拘り、オールブラック+フル革内装としました。裏テーマは”20年乗れる車”なので、色を入れたくありませんでした。差し色はかっこいいと思いますが、時代と共に流行り廃りがあります。内装はオールブラックに限るというのが我々の意見です。
3月上旬にハンガリーのジェール工場をラインオフし、FREMANTLE HIGHWAYという車両運搬船に載ってスエズ運河経由で運ばれ、4月頭に豊橋に入港し、4月末に納車されました。2021年9月にオーダーしてから世界情勢が大きく変化した為、非常にヤキモキする半年でした。
納車された後、実際に聞く音は非常に良い音でした。本国ではOPとなるRSスポーツエグゾーストが日本仕様では標準装備になっている他、マグネティックライドサスペンションも280スピードリミッターも走り系OPが全て標準装備になっているのは大変好感が持てます。国によっては20インチホイールが純正になっている国もあるようですが、個人的には19インチのほうが良いと思っているため好感触です。
TT RS Mk3 (FV/8S)後期型の特筆すべきポイントは幾つかあるのですが
・リファインされた5気筒エンジンと400馬力@5850~7000rpm、48.9kgm@1700~5850rpm
*新設計のアルミブロックでより高回転型(26kgの軽量化)、Mk2は鋳鉄製ブロック
*Mk2,Mk2+は45.9/47.4kgm@1650~5400rpm、340/360馬力@5500~6700rpm
*Mk2,Mk2+のエンジンはStage1でMk3とほぼ同等に
*日本仕様V-Maxは前後期共々280km/h(電子制御リミッター)
*Mk2のV-Maxは250km/h,Mk2+は280km/h(いずれも電子制御リミッター)
・Gen5ハルデックスの採用により、理論上前後トルク配分は0:100~100:0の可変が可能。走行モードによってトルク配分のベースも可変可能になっているとされている(が、構造的には直結四駆)→別記事アリ
*Mk2は50:50を基本としつつ、理論上15:85~85:15の可変
*前後トルク配分は95:5〜50:50の間で推移可能だと言われている。
*またMk3ではブレーキLSDを組み合わせ、4輪の回転数をコントロールしている
*わかりやすく書けば、GrBマシンを現代風に乗りやすくした形になっているイメージ
・ カタログ値では0-100km/h加速3.7秒(OPF付実測3.28秒)と、R8の3.1秒(実測2.9秒)、RS6の3.6秒(実測3.3秒)と、条件次第ではR8に次ぐ速さで走る
*Mk3前期型はOPFフィルターが無い為、実測3.2秒
*Mk2は4.3秒、Mk2+は4.1秒
・ 1490kgと現行RS中最も軽い車重(そして歴代RS中最軽量)
*Mk2は1500kg、Mk2+は1530kg
・ フロントブレーキはブレンボ製8podモノブロックキャリパー*車検証では1490kg(前軸:後軸=910kg:580kgで前後重量比は61:39)
*ウラカン/R8のフロントブレーキキャリパーと同じブレーキシステム(ローター径も同じ
*Mk2は4podのモノブロックキャリパーで18インチが入った(要現物確認)
*Mk3はローター径は同じだがキャリパーサイズが大きくなった為19インチ以上のホイールが必要になる→2022/12/19追記;オフセットを維持しようとすると純正ホイールしか選択肢が無い
*セラミックブレーキOPを選択するとバネ下重量に合わせて足廻りのパーツが一式変わる。
・アウディアクティブレーンアシストが無く、ステアリングフィールが非常に良い
*マトリクスLEDヘッドライトが採用されている為、カメラはついているが電動パワーステアリングにその機能が入っていない
*Mk3ではMQB採用によりスチール採用量が上がっていますが、ドアまでフルアルミになっています。
*RECAROのSP-X Avant LL210相当のシートが26万の純正OPとして用意されており、手動かつ1脚90万クラスの廉価版とはいえ、R8のシートと同じシートが選べたのは評価すべきポイントです。昔はRSモデルのシートは全てレカロでしたが、現行型はR8のみがレカロシートになっています。
*通常の革シートはLEAR製のようです。
Mk1時代はF:レカロOEMシート&R:LEARシートだったのに、Mk3は布シートがFAURECIA(フォルシア)製&革シートはLEARのようです。(断定出来るソースはないですが)
Mk3のシートは2脚で5kg軽いそうです。
そして、納車後偶々沢山運転させて貰うことが出来たのでメモを残しておきます。
・動かし初めはコンフォートモードですらルノーのシャシーカップより硬い
*走行距離が180km前後でブッシュ類の馴染みが出たのか、突っ張り感が消えて脚が非常に良く動くようになった
*ニュルブルクリンクを感じるサスペンションセッティングではあるが、そこまで硬く無い
・噂では聞いていたが、明らかに現行RS4/5やRS6よりも軽快感があることに加え、異様にクイックに動く。また、電動パワーステアリング独特の引っかかり感が無い。
*ステアリングのギアレシオが違うのか、ホイールベースが短いからなのか、とにかくクイック
*アウディアクティブレーンアシストが無いことが明らかにプラスに働いている
・サスペンションセッティング、ブレーキに尋常じゃないコストが投入されている
*特殊なサスペンションを使わずこのセッティングが出ているというのは、AudiSportsって実はかなりヤバい集団なのでは?
・ハルデックスの前後駆動配分がリアルタイムに変動しているのがわかるものの、加速時はゴリゴリの直結四駆
・ナンバープレート固定ボルトのクオリティが気になるほど各部のクオリティが高く、造り込まれている
・エンジンのフィーリングはトルクカーブと完全に一致している
TT RS Mk3 (FV/8S)のデータです。確かに1700回転以下のトルクはスッカスカで悲しくなるレベルです。とはいえ24kgmは出ているので、ノーマルのゴルフとは比べ物にならないのですが、事実ドッカンターボ感はあるのでスカスカに感じます。ドッカンターボ感明確にあります。くっそ楽しい。
これをS5のエンジンデータと並べ、重ねてみます。
ピンクの領域は明らかにS5のほうがフィーリングが良い領域、緑色の領域はTTRSのほうが良い領域。青い領域はまだ慣らし期間中の為、使っていませんが明らかに良いはずの領域です。
パワーカーブに直線を当ててみると、S5のカーブは直線よりも上に突出するミラーサイクル独特のカーブになっており、TTRSのカーブはオットーサイクルの限界を感じる形状になっています。
こういったミラーサイクル/オットーサイクルの違いはRS4/6のトルクカーブを並べてもわかるのですが、RS4のエンジンはカムの切り替えによってミラーサイクルとオットーサイクルを移行するのが如何に素晴らしい設計か…がわかるカーブになっている反面、RS6は4Lの排気量で解決しているものの高回転域で去勢されていることもわかります。こう見ると7000回転オーバーまで楽しめる小排気量エンジンというのが非常にユニークな存在であることがわかります。
TTの空力とハルデックスカップリングの設定についても書こうと思ったのですが、あまりに長くなりすぎたので別記事に分けることにします。
【追記】
納車されるまでの間に、自分が初めて乗せて貰った祖父のアウディが5気筒エンジンだった(アウディ100 C3)というしょーもないことに気がついたというしょーもない話があるのですが、30年以上前の話なので何も覚えていません。アウディの担当さんの車のメルセデスのナンバーが祖父の会社の電話番号と全く一緒だったり、不思議な縁ですね。
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