お盆真っ只中、非常に貴重な経験をさせて頂きました。
名古屋のMJ.Cさんのシャシダイ(というかハブダイナモ)を丸一日お借りしてパワーチェックを行ってきました。
僕はデータの抜き出し/書き込みに特化し、データは優秀なデータ屋を探して購入してくる…というコンセプトでスタートしたCelticTuningJapanですが、少なくともEA888用のデータはかなり優秀である事が実測値としても確認出来、収穫が非常に大きい1日でした。今後、「ケルティックのデータは公称値キッチリ出てます!」と自信を持って言えます。
扱っている商材への理解を深める事は非常に重要だと考えており、今後も定期的にパワーチェックをやって行きたいと考えています。ご一緒したい方がいらっしゃったらぜひお声掛けください。
八潮のガレージRSチーフメカのばやしくん、hzmさん、trlbさん、Riku’sさん、okjmさんにはずっと様々な形でお世話になっているのですが、今回もお世話になりっぱなしでした。引き続きよろしくお願い致します。
MJ.Cの山本さん、話を繋いでくださったまーしゃさん、丸一日ありがとうございました。またぜひよろしくお願い致します。
パワー測定について語る場合、シャシダイの形式を最初に考える必要があります。
①ハブ取り付け型:DynapacやProhubなど
②ローラー型:ボッシュやダイノジェット、サクラダイノなど
それぞれのメリット・デメリットがあるようですが、最終的には機械が適正に校正されているか(使用目的に合わせたセッティング/校正が出来ているかどうか…)が重要っぽいですね。
https://minkara.carview.co.jp/userid/297589/blog/11403469/
こういったデータがあったり、ChatGPTに計算させるとハブ取り付け型は0.3–0.8%の精度、ローラー型は1–2%の精度となり、”測定”に特化した用途だとハブ取り付け型に軍配が上がりそうです。タイヤとローラーの接触抵抗による誤差が排除出来るのはかなり大きいです。
とはいえ、シャシダイ/ハブダイナモの数字は絶対的なモノでは無く、相対的なものであることから、複数の車を比較する場合は基本的には同じ施設で同じ測定者によって行う必要があります(補正値のデータが揃っていれば、同日や同気温条件で計測する必要は無いと言われています)。
また、ハブ取り付け型のハブダイナモを使って4WDの計測がバチバチに出来るところは意外と無いので、MJ.Cの山本さんがPROHUBを4機持っていらっしゃったのは今回は非常に幸運でした。(単純に機械の個数が倍、価格が倍になる為、ハブ取り付け型で4WDの計測が出来るところは本当にレアです)
係数無しのデータを頂いていますが、係数を考えるのであればChatGPTの数字が参考になりそうです。
まぁ、そんなこんなで、係数の使用を最小限に抑える事が出来るハブ取り付け型で4WDの計測が出来る環境をお借りしてパワーチェックしてきたよ。という話です。
1台目はVW Golf7 Clubsport TrackEdition(MY2016)です。有名な個体ですね。
ゴルフRと同じCJXエンジンで265ps(195kW)/5350~6600rpm、35.7kg・m(350N・m)/1700~5300rpmが公称スペックです。290ps 38.8kgmを発揮するオーバーブースト機能もついており、特定条件下ではゴルフ7Rと同じパワーカーブになるパワートレインです。公式スペックとして、0-100km/hは5.9秒、最高速は250km/hに制限されています。
*ギアが3~6速(トルクリミッター無しという条件ですね)&スポーツモードorDSGをSモード&キックダウンスイッチで約10秒間290ps&38.8kgmを発生します。
*ハルデックスポンプを利用したLSD(VAQ)も入っていますが、こちらはパワーチェックには特に関係無いので今回はスルーしましょう。
非常に興味深いことに、MJ.Cの山本さんは過去にGolf7 Clubsportのデータ計測をされた事があるそうで、ストックで260馬力出ていたというデータも拝見させて頂きました。
*今回、ばやし号も一度ノーマルに書き戻して計測しています。
今回持ち込んだクラブスポーツは触媒レス&センタータイコレスである以外、パワートレインは基本的に全てノーマルの状態とのこと。
本当はノーマルとCelticTuning Stage2のパワー比較だけでなく、RS tronicとケルティックのデータのトルクカーブ比較もしたかったのですが、現地でトラブルが発生してトルクカーブ比較は出来ませんでした。
測定結果です。(5速を使用)
低いカーブがTCU施工済ノーマル、高いカーブがCelticTuning Stage2のデータになります。
ノーマルが266馬力@5850rpm、約35kgf・m@4190~4900rpm
CelticTuning Stage2が341馬力@5760rpm、約46kgf・m@3500~4100rpm
*いずれも補正前の数値です
①ブースト立ち上がりのトルクカーブはノーマル同等。
*ECUチューニングを行うと下からトルクが唐突に出る(が上は回らない)データと下のトルクがスッカスカになる(けど上は回る)データがあると言われています。CelticTuningのデータはStage2でも低回転のトルクの立ち上がりポイントは純正と近い回転数になっており、「唐突にトルクが立ち上がらず乗りやすい(が、街乗り領域ではわかりやすいパワーアップ感が無い)」というレビューと一致するトルクカーブになっています。
②ブーストアップ後のトルクカーブは純正のトルクカーブ/パワーカーブと一致している。
*カムプロファイルやタービンのキャパシティを純正+αで使っている…と言える…のかな?突拍子もないデータでは無いというのはわかります。
③6000回転過ぎまで直線的にパワーが立ち上がり、パワーの垂れが少ない。
③6000回転過ぎまで直線的にパワーが立ち上がり、パワーの垂れが少ない。
*CelticTuningのデータの特徴として、回転数とパワーがリニアに一致する為、むちゃくちゃ乗りやすいというのがあります。
④触媒レス&stage2用TCUデータが入っていても6馬力(2.3%)しか上がらない。
*前述の通り、MJ.Cの山本さんは過去にGolf7 Clubsportのデータ計測をされており、ストックで260馬力出ていたというデータがあります。今回の個体はTCUが入っているのでキックダウンしない状態で計測していますが、266馬力出ていました。ECUを弄らないと馬力は上がらない(後述しますがトルクは明らかに上がる)というのが確認出来ます。最近のECUって賢いですよね。触媒外してもブーストが上がらない、賢い制御になっています。
⑤CelticTuning Stage2はノーマルと比べると266馬力→341馬力(28.2%)、約35kgf・m→約46kgf・m(31.4%)のパワー/トルク向上が見込める。
*MJ.Cの山本さんとも話をしていたのですが、馬力やトルクの数字はある程度相対的な数字として表されてしまう以上、”ノーマル比で何%上がった”と考える必要があります。
*MJ.Cの山本さんとも話をしていたのですが、馬力やトルクの数字はある程度相対的な数字として表されてしまう以上、”ノーマル比で何%上がった”と考える必要があります。
*もし、係数の概念を導入するのであれば、MJ.Cの山本さんが過去に計測したGolf7 Clubsportの260馬力がカタログ290馬力に一致すると考え、FF車の係数はおよそ1.115になります。この係数をかけると266馬力→296.6馬力、341馬力→380.2馬力、約35kgf・m→約39kgf・m、約46kgf・m→約51.3kgf・mとなります。カタログ表記に合わせた計算をするのであれば、CelticTuning Stage2+TCUで380.2馬力、約51.3kgf・mとなります。この数字はCelticTuningが公開している数字(382馬力、515Nm)とほぼ同一です。
*この車は290馬力仕様からのスタートだった為、370~380馬力くらい出ているとCelticTuningから説明を受けていました。
そんなこんなで、(±2~3%のブレはありますが)CelticTuningのデータはパワーもトルクも概ね公表値通り出ている…と言えそうです。ケルティックチューニング、むちゃくちゃ優秀では???
パワーチェックとはちょっと関係の無い話ですが、Celticが作るVW/Audi系のデータには面白い傾向があります。
⑥CelticTuningのデータは水温/油温のベースラインが10℃前後下がる。
⑥CelticTuningのデータは水温/油温のベースラインが10℃前後下がる。
*色々検証しているのですが、電動サーモの開弁タイミング&ファンの作動温度を引き下げる方向で制御が入っているようで、CelticTuningのデータは水温/油温が10℃前後下がります。街乗りで水温が100℃を超えない制御になっています。つまり、油温は90℃前後に保たれます。
*我々が収集した情報だと、CelticTuning、APR、Revoのデータは電動サーモ車の水温が下がるようです。RStronic、デジタルスピード、リザルトマジックのデータは下がらないことを確認しています。oem+は下がるっぽいです。GIACは下がらないと書いているページがあります。MTMは希少すぎてわからない…。
*水温が低く保たれる事が常に良いわけでは無いので、水温が下がる=良いデータでは無いことに注意してください。
⑦ゴルフ7Rだと全開連続域での油温がおよそ123℃くらい。
*書き換えさせて頂いた方達が詳細なレポートを送ってくださるのですが、Testgelände Ehra-Lessien(片道10kmの直線)を端から端まで全開にして、最高速291km/h、油温123℃だったと報告を受けています。
⑧燃費は全開だと2~3割悪くなる。定速巡航だと2割くらい良くなる。
*前述の通り、CelticTuning Stage2はノーマルと比べると266馬力→341馬力(28.2%)、約35kgf・m→約46kgf・m(31.4%)のパワー/トルク向上があるわけですから、全開域でのガソリン消費量も3割増しです。ただ、定速巡航するとゴルフ系は2割ほど燃費が良くなるという報告を受けています。
2台目は泣く子も黙る(はずだった)RS7です。CelticTuningJapan立ち上げ直後にStage1への書き換え(560 PS 700 Nm→649 PS 813 Nm)を依頼してくださった方で、今回はTCUのインストールを行うことで75kgf・mと言われているトルクリミッターを解除出来るのか&それによってどれくらいトルク&パワーが上がるのか…というのを測定しよう!という話になっていました。(大過去)
と思ったら、ESCが何故かカット出来ず…。ヒューズを抜いて対応したら何らかのセーフモードに入ってしまい、出力が明らかに制限されています。
計測がうまく出来なかったものの、CelticTuning ECU Stage1単独でトルクが約76kgf・m、TCUインストール後に約78kgf・mとなっており、トルクリミッターが引き上げられていることを確認して終了。全く馬力が出ていませんが、4500回転くらいから明らかに制御が入っている音がしていたので、馬力(&トルク)に関しては全く参考にならない事を100万回くらい書いておきたいです。(情報が変に走るのが嫌なので測定データは未掲載のまま行きます)
そのうちRS7は再計測したいですね。
そのときは自分のTTRSも計測します笑
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