2023年2月17日金曜日

初代TTに搭載されたエンジンとかサスペンション仕様とか

 1.8Tと3.2 VR6しか無いわけですが、実は意外とバリエーションがあるのが初代TT。

いずれのエンジンもUr-quattroから続く、VW/Audi伝統のエンジンです。

導入時期などの詳細は日本語版ウィキペディアに掲載されていますが、初代TTはざっくり分けると2つのエンジンを4つの仕様、4種類のトランスミッションと組み合わせて販売していました。

1.8 R4 20vT(EA113)
FFモデル(右ハンドルのみ導入)
180ps(130kW)/5500rpm 24.0kgm(235Nm)/1950~5000rpm+アイシン6AT(トルコン)/5MT
*EA113に小型のK03タービン+小型のインタークーラーを組み合わせたロープレッシャーターボ仕様です。圧縮比は9.5で以前僕が乗っていた9NポロGTIのエンジンとほぼ同一、ECUセッティングのみが違うと言われています。225馬力モデルよりはレスポンスが良いものの、かなりのドッカンターボです。
*FF右ハンドル5MTモデルは 2001年1月から2002年10月までの1年9ヶ月しか導入されていません。ただ、中身は9NポロGTIやゴルフ4GTIと同じなので、価値があるか?と言われると微妙だと思います。最軽量ではありますがどちらかというとキワモノ枠に当たる車です。
*FFMTモデルは1300kg、FFATモデルは1330kg。
4WDモデル(左ハンドルのみ導入)
225ps(165kW)/5900rpm 28.6kgm(280Nm)/2200~5500rpm+6MT
240ps(176kW)/5700rpm 32.6kgm(320Nm)/2300~5000rpm+6MT
*EA113に大型のK04タービンを組み合わせたハイプレッシャーターボ仕様です。圧縮比はそれぞれ8.9/9.0であり、超絶ドッカンターボだと聞いています。
*ターボサイズを比較している写真を掲載している方がいらっしゃいます 
*225馬力仕様は1999年10月から2003年8月までのいわゆる前期型でしか導入されていません。中期型以降は後述するVR6+DSGがこの枠になっています。
*240馬力仕様のクワトロスポーツはスポーツサス+リアシート除去+リアアンダーパネルの追加+バッテリーのトランク下移設により、225馬力仕様と比較して50kg軽量化されています。本国データでは225馬力モデル比較で75kg軽くなっていると言われているので、この差はシート分でしょうか。一応アルカンターラ化しているのでその分も軽そうです。とはいえ、225馬力仕様は1450kgもあったので1400kg…。Mk2やMk3と比べると泣きたくなるくらい重い車です。本国仕様で1375kgだと思っていますが、大本営発表値は1390kgと謎が多い車です。細かい仕様を書いてくれているサイトが無いのですが、3.2クワトロのボディを流用しているような話が書いてあるのでボディ補強も追加されているのかもしれません。いわゆるトラックデイカー枠に居る車です。

当時も今もアウディジャパンは潔い入れ方をしており、4WDモデルは左ハンドルMT、FFモデルは右ハンドルATとしています。アイシンATはかなりの曲者で、非常によく壊れると言われています。DSGより多少マシな程度らしいですね。

EA113は鋳鉄ブロック+アルミヘッド+マーレの鍛造ピストンであり、非常に贅沢に作られたエンジンです。アウディ伝統の5バルブを搭載した名機としても知られており、1.8L時代はゴルフ4GTIに、最終的に2Lまで拡大しゴルフ6のGTIまで搭載されていました。また、ドライサンプ化されF2のベースエンジンになっており、480馬力運用されていた事も記憶に新しいところです。
先日掲載したmtmのbimotoはこのF2エンジン並のエンジンを前後に搭載していたと言えばわかりやすいですね。


3.2 VR6 24v(EA390)
4WDモデル(DSG;日本には右ハンドルのみ導入)
250ps(184kW)/6300rpm 32.6kgm(320Nm)/2800~3200rpm+6速湿式DSG(DQ250)
*言わずと知れたVR6です。ピエヒ博士肝入りのエンジンです。後にブガッティのW16エンジンのベースとなった設計であり、双子エンジン化するとベントレーが使っているW12になります。
*8N型アウディTTに搭載されているのは、3.2L版では最もパワーがある仕様になっており、当時ゴルフ4のR32と同時期に販売されたにも関わらず、ゴルフ5のR32と同じパワーが出ています。New Beetle RSiが225ps/6200rpm 32.6kgm/3000rpm、ゴルフ4R32が241ps/6250rpm 32.6kgm/2800〜3200rpmだったので、微妙にハイチューンになっているようです。その後、ダイレクトインジェクション化され初代フェートンに搭載、3.6LにスープアップされカイエンやパサートR36に搭載されました。中国で生産されているVW/Audiに3.0L&3.2L VR6が搭載されているようで、中国では現行エンジンです笑
*3.2quattroの特徴として、スポーツサス+S-LINEバンパー+大型リアスポイラー+リアバッテリーが挙げられます。トラックデイカーだったクワトロスポーツとは違い、ゴリゴリの高速巡航マシンとして作られているようです。クワトロスポーツと比べるとパワーはほぼ同等、車重は1550kgと150kg重いですが、加速/最高速共にほぼ同等の数字になっています。つまり3.2クワトロを軽量化するのが初代は1番速くなるというわけです。現行モデルで考えると実質的には初代TTSといったところでしょうか。Mk2では3.2クワトロとTTSが併売されていましたが、EA888系の2LターボはVR6をダウンサイジングした後継ポジションだと聞いています。2003頃からS lineというスポーティグレードがアウディ全体で導入された為Sモデルに出来なかったとか、縦置きクワトロ横置きハルデックス論争が社内にあったのでは無いか…と思っています。 現在はSモデルはスポーツラグジュアリー、RSモデルはハードコアスポーツモデルという位置付けになっていることを考えると間違いなくこの3.2Lモデルは現在のSモデルのポジションに居る気がします。ちなみに3.2クワトロのフロントブレーキは当時RS4で使われていたブレーキが入っています。
*stage1ECUチューンをすると270PS/6500rpm 368Nm/2660 rpmであり、クワトロスポーツが270PS&395Nm/3500 rpmとターボの利点が生きてきますが、クワトロスポーツはレブリミッターの関係で最高速は250km/h辺りで打ち止めになるようです。3.2Lモデルは一応263km/hまで行けるとされており、”やっぱり高速巡航マシンじゃないか!(歓喜)”となりますね。
*このモデル最大の弱点はVR6のタイミングチェーンと初期型DSGの信頼性の低さだと思われます。VR6としては割と熟成が進んだ年式なのであまりエンジントラブルは起きないようですが、DSGが泣き所ですね。正直なところ、DSGが壊れた時に修理をするかそのまま廃車にするかは大変悩ましいと思っています。

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