2022年5月11日水曜日

歴代TTの空力データのシステマティックレビュー的な記事

AudiMediaCentreのプレスリリースと海外フォーラムの和訳と転載になります。

Mk1
①ABT系データ
ロシア語のHはNらしいので、ニュートン表記になっているようです。

ロシア語
Аэродинамические характеристики Audi TT
ЧБез спойлера Со стандартным спойлером Abt Sportsline
Площадь миделя, м2 2,004 2,004 2,004
Сила лобового сопротивления Рx, Н 588 545 539
Коэффициент аэродинамического сопротивления Сx 0,367 0,340 0,336
Подъемная сила Рz, Н 500 363 319
Опрокидывающий момент Мy, Нм –210 128 190
Момент крена Мx (при угле поворота платформы 15°), Нм 321 374 380
Поворачивающий момент Мz (при угле поворота платформы 15°), Нм 570 581 539
英語翻訳
Aerodynamic characteristics of Audi TT
Without spoiler With standard Abt Sportsline spoiler
Midsection area, m2 2.004 2.004 2.004
Drag force Px, N 588 545 539
Air drag coefficient Cx 0,367 0,340 0,336
Lifting force Pz, N 500 363 319
Tilt moment Mu, Nm -210 128 190
Roll moment Mx (at 15° rotation angle), Nm 321 374 380
Turning moment Mz (at 15° platform angle), Nm 570 581 539



上記の画像によると、発売当初の形だと200km/h時のリフトがF38kgR78kg、リアスポイラーを装着するとF55kgR30kgに減ることになっています。ABTエアロでF55kgR20kgになるという情報も追記されていますね。

ABTのデータ(テキスト版)によると
"The TT has 148 pounds of lift at the rear axle at 125 mph without the spoiler, but only a 53-pound lift when the spoiler is fitted. By comparison, the BMW Z3 coupe generates 64 pounds of lift at 125 mph; the Mercedes-Benz SLK, 104 pounds of lift; and the Porsche Boxster, 68 pounds of lift."
ということで、初代TTは発売当初の形だと200km/h時のリフトが67kg、リアスポイラーを装着すると24kgに減るとされています。当時のZ3クーペは29kg、SLKは47kgなので、リアスポイラーを装着するとTTは最もリフト量が下がるという話だったようです。


The 98 original MK1 TT has a 0.34 tested drag coefficient(Cd in the US, Cx in france, Cw in germany)
copied and pasted from original specs
Exterior Length: 159.1 " exterior length
Exterior Width: 73.1 " exterior body width
Exterior Height: 53.0 " exterior height
Front Tread: 60 " front tread
Turning Radius: 17.1 ' turning radius
Drag Coefficient .34 drag coefficient
Front Legroom: 41.2 " front legroom

The Frontal area (A) is :
A=1.9900 m2 (square meters)
A=3084.5062 in2 (square inches)
A=21.4202 ft2 (square feet)
A is the total surface area of the front of a vehicle that is exposed to the air flow.

The Drag area (CdA) is :
CdA = 0.6766 m2 (square meters)
CdA = 1048.7321 in2 (square inches)
CdA = 7.2829 ft2 (square feet)


②mulsannescorner.com

③その他


このデータによると、192km/hでフロント/リア42kg/57kgとされていますね。

Der zweifache Rallye-Weltmeister Walter Röhrl schilderte damals in einem Interview des NDR die Problematik des TT: „Ich bin eine Runde gefahren, kam zurück, sagte: ‚Nicht schlecht, aber für den normalen Menschen zu gefährlich. Wenn der bei 200 das Gas wegnimmt, [dann] fährt der rückwärts. Und das kann halt nur einer auf der Welt, der heißt Röhrl.‘ So habe ich ihm das Auto zurückgegeben und dann später kamen diese Unfälle.“
Two-time rally world champion Walter Röhrl described the TT's problems in an interview with NDR at the time: "I drove a lap, came back, said: 'Not bad, but too dangerous for normal people. If it takes the throttle off at 200, [then] it goes backwards. And there's only one person in the world who can do that, and his name is Röhrl.' So I gave him the car back and then later these accidents happened."
Translated with www.DeepL.com/Translator (free version)
「僕的には悪くないけど一般人には無理でしょこれ。200超えてアクセルペダル離したらお尻吹っ飛ぶよ。僕以外乗れない。」ということです。初期の頃に指摘をしていたようですが、対策を取ることなく販売して事故が多発したのはよく知られている所です。

*その後5人亡くなり、5人目のPeter Hommel氏が2000/01/17にTTロードスターで亡くなったタイミングでAudiはリコールを出しました。調べていくと、Peter Hommel氏は東ドイツラリーチャンピオンでAWEのワークスドライバーとして国際ラリーを転戦していたようです。これまでの事故が時速160km/h以上で起きていたのに対し、80km/hそこそこで亡くなったと言われています。一説によればスタッドレスタイヤを履いていたようです。彼が乗っていたWartburg 353はFFだったので、”FFの名手がFFベースのスポーツカーで亡くなった”というのは深刻な事態だったのでしょう。しらんけど。



④【追記】8/12/2022に面白いCFDデータが公開されています。
こちらのサイトでは上記のデータがCar and Driver誌のデータであることが明記されており、非常に面白い分析が成されています。





Mk2
①sport auto(独雑誌)系データ
Mk2は速度がわからないですがフロントリフト23kg、リアリフト24kgらしい。
TTSだと時速200km/hでフロントリフト42kg、リアリフト17kgになっているようです。
Mk2TTRSは時速200km/hでフロントリフト36kg、リアリフト2kgらしいです。

②AudiAG
なお、大本営発表ではダウンフォースを発生していることになっています。


よく見るとリアの固定式ウィング周りの気流がかなり違うことがわかりますね。フロントのバンパー形状でリフト量も変化しています。
ドイツのSportAuto誌が以前こういった形の空力テストを行っていたようです。

参考:https://fastestlaps.com/articles/airdrag-factory-claims-vs-car-magazine-tested-numbers
参考:http://montrealracing.com/forums/showthread.php?698450-Wind-tunnel-test-pics

このデータを信じるのであれば、Mk2ではかなり良い値になっているようです。


Mk3
①AudiAG
Mk3のリフト量に関するデータを見つけることは出来ませんでしたが、以下の情報がオフィシャルプレスリリースの中にありました。
2015年モデルのTTクーペは120km/h時点でのリフト量は凄く少なく、250km/h時にはリアに50kgのダウンフォース量があるとされています。流石にありえない数字なので、これは電動リアスポイラーによってリフトが約50kg軽減されるという認識で良いでしょう。
またSラインパッケージ装着でCd値が0.29になるようです。

また、Mk3は固定式リアスポイラー装着時にCd値が0.29になるとの記載もありました。
参考:https://www.audi-mediacenter.com/en/the-new-audi-tt-and-audi-tts-11105/exterior-design-and-body-11108

ドイツ本国で40台限定として発売されたAudi TT RS 40 years of quattroはAudiSportsのエアロパッケージを装着しており、最高速である時速280km/hでフロントリフト9kg、リアダウンフォース5kgに設定されているようです。この数字は近年のポルシェ911GT3やランボルギーニなどのスーパーパフォーマンスカーと同等の数字になっています。


フロントリフトのほうが多いセッティングはドイツ車に多いセッティングになっており、限界域でアンダー傾向になるセッティングです。初代TTはリアリフトのほうが大きかった為、限界域で唐突にオーバーステアになる悪癖があったということですね。
Mk2TTRSのデータを参考にするのであれば、audisportパクリカーボンウィングの装着はリアリフトをダウンフォースに変えることが出来そうですね。ただ、エアロパッケージはパッケージとして効果が出るものだという認識を僕は持っており、リアウィングだけつけるのは高速域での安定性向上に寄与するとしても全体的なバランスが崩れないか心配な所です。少なくともリアウィングをカーボンウィングにするのであれば、フロントカナードを装着したほうが良さそうです。個人的には純正リアウィングにガーニーフラップが現実的なラインなのでは無いか…と思っています。

また、AudiUS,UK,AGが公開しているデータにこんな数字が。
Mk3
TTクーペ:0.34
TTロードスター:0.36
TTS:0.35
TTRS:0.32
というのが公式数値のようです。上に述べた0.29という数字は何だったんでしょうか…。

【2024/10/01追記】
空力系Youtuberに動画作って~って言ったら作ってくれました。嬉しい。


sportautoでは現在空力テストは行っておらず、代わりにニュルブルクリンクアタックをやっているようです。このキャラミグリーンのTTRSは長期レポートを行っていたようで、紙面にはかなり詳しい情報が載っているようです。手に入れようと思ったのですが、ニュルアタックの掲載回(10/2017)は手に入ら無さそうです。ホッケンハイムリンクアタックの回はebayに出ています。(が、思いっきりドイツ語)

まとめ
歴代TTのCd値、A値、CdAとついでに0-100、V-Maxをまとめてみました。諸説あるので、それっぽい数字をcarfolioから選んで載せています。正直なところ、Cd値とリフト量は全く関連性が無いので、こんなデータを並べても意味が無いのも事実。ただ、CdAを見る限り、Mk1~Mk3の進化もわかりますね。

AudiUSのデータも混じっているため0-100km/hと0-60mphのデータが混在していたり、細かい数字が大本営発表の数字とかなり違うので参考程度でお願いします。
TTRSのリミッターは本国仕様では通常250km/h、有料OPで280km/hになるようです。日本仕様はMk2TTRS+とMk3TTRS後期がop280km/hリミッターに変更されているようです。
Mk3TTRSは完全にリミッターを解除すると310km/hまで伸びるようです。ノーマルで初代V8R8と同等、Stage1で初代V10R8と同等、Stage2で現行V10R8と並ぶようなイメージですね。
Mk2TTRS,RS+は295km/hと数字的には及ばないようです。
Mk1quattrosportは多分機械(ギア比)的に250km/hが限界だと思われます。3.2quattroはリミッター解除で263km/hまで狙えるようです。同じメカニズムのGolfMk5R32よりは10km/hほど高い最高速になることになりますね。263km/hという数字はパサートR36のリミッター解除時の264km/hと近しく、ギア比的な問題なのでしょう。



他のAudiのデータは時速200km/hで
S5のリフト量が多く、S5カブリオレが230超えるとちょっと怖かったのを思い出します。

参考サイトなど

2022




追記
流石にインポーターは把握してるだろうと思って問い合わせたのですが、こんなメールが帰ってきました。
インポーターが知らない情報を販売店が持ってるなんて事、あるんですかねぇ…

追記その2
ベストバイは?という記事を書いています。

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