2023年2月16日木曜日

TTの納車はまだまだ先なので、初代TTの思い出をつらつらと書いていく

初代TTにまつわる記憶は幾つかあり、このテンションが続く間に書いておこうと思います。

①岐阜YANASEの外車ショーで見たクワトロスポーツ

小学生のときだったと思います。2005年の年末だったかなぁ…。
実家がジープチェロキーからランドローバーに買い替えるタイミングだったのですが、ショーにポツンとクワトロスポーツが置いてありました。2シーター+左ハンドルMTというパッケージに興奮した僕は母に「これが良いからランドローバーじゃなくてこっちにしようよ」と言った記憶があります。当時は価格や何人乗りかなんていう事は全くわかっておらず、サイドにダクトが付いたフロントバンパーと大型のリアスポイラー、スパルタンな内装にヤラれた記憶が鮮明に残っています。正直今でも凄く欲しいです。S-Lineバンパーとエアロのついた3.2クワトロが好きになったのは間違いなくこの1台が記憶に残っているからです。


②E23(東名阪自動車道/伊勢自動車道)走行中に200オーバーでかっ飛ぶ8N

もうちょっと後だったと思いますが、東名阪自動車道をぬおわkm/h前後で走っていた時に後ろから猛烈な勢いでシルバーのTT(多分1.8Tクワトロだと思います)が飛んできました。当時、父親が「あの車、高速でリフトしてとてもこんな速度で走れる車じゃないと思っていたけど、意外と走るんだな。」というコメントをしていたのが記憶に残っています。その時に運転していた母は”ポルシェアウディ”と呼んでおり、その後もずっとTTは"ポルシェアウディ"呼ばわりをされていました。
両親共にそれなりのペースで巡航するため、あまり速い車の記憶は無いのですが、このTTとマセラティの3200GT、アストンのDB9の3台は親が千切られていたので記憶に残っています。あとは唯一ランデブー出来ていたオレンジのNBロードスターも妙に記憶に残っています。


③mtm bimoto
中学~高校くらいの時はカーグラフィックやゲンロクを読み漁っていました。その時に掲載されていたのがこの車。詳細は検索すると出てきますし、昨年mtmが保存していたbimotoを復活させてインスタグラムに掲載しています。
当初は黄色いボディだったこの車、AutoBild誌のNardo Highspeed Runではスポンサーが付き、急遽シルバー×緑にラッピングされて走ります。これは完全に同一の車であり、テスト回数が増えるにつれ、ボディ後半の造形が過激になっていきます。当時は1.8Tエンジンのほうがチューニング耐性があったと言われており、3.2L VR6よりもピークパワーは出しやすかったと読んだ記憶があります。
この車がターゲットにした速度は実測400km/hであり、Nardo Highspeed Runでは実測390.6km/h、その直前のプレテストでは393km/hを記録しています(ドライバーはFlorian Gruber;ハタチそこそこの若者が乗っていました)当時、世界最速のチューンドカーでした。チューンドカーの最高速は当時もRUF CTR(イエローバード)が持つ342 km/hだったのか、盛んにイエローバードの記録を抜いた事が取り上げられていた記憶があります。0-100km/hタイムは当時3.1秒だったようで、当時世界最速だった(そして今も世界最速ランキングに悠々と入ってくる)マクラーレンF1が0-100km/h 3.1秒&V-max386.4 km/hであり、たった1.8Lのエンジン2基でマクラーレンF1と同等の速さを手に入れたというのは衝撃的でした。乗用車であるゴルフ4ベースのボディをシュッとさせたのが初代TTなわけで、そのチューンドカーがマクラーレンF1と同じタイムで走るというのは理解出来ない領域です。僕の把握している範囲内では、この記録はアウディをベースにしたチューンドカーの速度記録でもあるはずです。
あまりオンライン上に記録が残っていないのですが、それぞれの1.8Lエンジンは500馬力ずつ発生しており、実測1000馬力クラスだったと言われています。10台作成予定だったようですが、当然この1台で計画は頓挫しています。当時60万ユーロ(およそ8000万円)のプロジェクトだったと言われており、当時の自動車産業はお金があった事がよくわかります。
3.2LのVR6エンジンはその後、アメリカのHPA Motorsportsがチューニングしており、安定して700馬力はいけると言われているので、今ならVR6を単発で載せたほうが賢そうです。確かDSGも現行のDQ500がドッキング出来たような記憶が…。
実はABTは空力の話で記憶があるくらいで、初代TTのチューニングに関しては実は殆ど記憶にありません。個人的には初代TTは純正S-Lineのデザインが最も優れていると思っています。


④2001 Audi TT One-Off Prototype with 380PS 2.7 V6 by Quattro GmbH
僕の知る限り、この車は殆ど日本では知られていません。8N TT販売当時、アウディはTTをリアルスポーツカー路線で売ろうとしていたようです。デザイナーが頑として首を縦に振らなかった為コケたと言われていますが、当時のラインナップを見ているとポルシェイーターとしてアウトバーンを走らせようとしていたような気がするのです。
実際、Quattro GmbH(現在のAudi Sport GmbH)は上記のクワトロスポーツを企画する前に当時のRS4のV6ツインターボエンジンを搭載したモデルをワンオフで制作していたようです。NeckarsulmにあるAudi Forumに展示されていたことがあるようで、0-100km/h 4.8 秒&V-max 295 km/hという8J型のTTRSとほぼ変わらないスペックの試作車があったようです。ABTのリアウィングがセットされており、フロントバンパーは特定出来ないのですが、VW/Audiグループがしばしばやる”メーカー直系レーシングコンストラクターが販売しているチューニングパーツを普通にプロトタイプカーで使う”という手法が見えるのが大変興味深い1台です。
このマシンが後のクワトロスポーツの系譜に繋がっていく点はフロントのレカロ製バケットシートに表れています。日本仕様のクワトロスポーツはボディ同色バックパネルのレカロ製バケットシートは付属していませんでしたが、このタイプのシートが本国では採用されていたようです
低コストでそこそこのスペックを持つスポーティカーを作る。というのがTTのコンセプトでもあり、コストが掛かりすぎるという理由で縦置き4WDをねじ込むというのは却下され、低コストで作られたクワトロスポーツが出たというのは一貫性があって大変よろしいと思います。クワトロスポーツは225馬力を絞り出していた1.8LのハイブーストエンジンのECUをちょいちょいっと弄って240馬力とし、空力向上の為にリアセクションのパーツを3.2quattroのものに変更し、リアシートを除去して2座化しています。一応ルーフをファントムブラックパールエフェクトに塗装し、専用色(ミサノレッド パールエフェクト&アーブスシルバーパールエフェクト)を導入し、ベースとなった1.8Tquattro(実は前期型でしか日本には入って来ていない)より50kg軽くなったわけですが、その後8J型やFV型で5気筒エンジンが搭載されていることを考えると相当な手抜き仕様です。ただ、その手抜き仕様で+50万のプライスを付けられたのはメーカーとしてはめちゃめちゃ美味しかったのでは無いでしょうか。(3.2quattroを2座化してターボつけたい)(700馬力の初代TTとか激アツじゃね)
225馬力仕様のTTは470万円、クワトロスポーツは529万円、3.2quattroは526万円でした。別記事に書きますが、1.8Tquattroは実は導入から数年しか販売されておらず、1.8Tは途中からFFモデルのロープレッシャーモデルしか導入されていなかったというのも重要な情報です。

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