日本でこのキャリパーのOH詳細を掲載しているサイトが見受けられないので備忘録的に。
*一部でエンツォ・フェラーリがこのキャリパーを使っているという記載があるのですが、完全な間違いです。エンツォ・フェラーリは確かに8podキャリパーを採用していますが、パッド分割式ではない8podキャリパーになります。
https://polo9ngti.blogspot.com/2026/03/blog-post.html
過去にも何回かこのブログで触れてきているAudi RS系の8podキャリパーですが、このキャリパーと付き合おうとする人が居ないからか、国内外に碌な情報が無い現実があります。
このキャリパーをどうにかしようとしている珍妙な人が居る(まぁ、つまり私のことですが)と思うので、こんな選択肢もあるよ~という記事です。
このキャリパーが抱えている問題は
①ブレーキパッドが薄くて熱容量が足りない②分割ブレーキパッドになっている為、8podにしてはパッド面積が小さく熱容量が足りない
③熱容量が足りない為、見た目以上にダストブーツ&オイルシール劣化が発生する
④8podもあるとオイルシール劣化で容易にピストンが動かなくなる為、高確率で引きずりが発生する
④8podもあるとオイルシール劣化で容易にピストンが動かなくなる為、高確率で引きずりが発生する
はい。猛烈にひどい引きずりが発生しました。
右Fキャリパーの外側上側のピストン全く動いてない…
左右のブレーキローター温度を放射熱計で計測すると50~100℃くらいの差が…
*dbaのローターが死んだ説があるくらい重篤でした。
1~2万kmくらいずっとブレーキ周りの調子がおかしく、ブレーキパッド交換/ピストン周りの清掃/ブレーキフルードの頻回交換をやりまくっていたのですが、根本改善には至らず、頭を抱えていました。
このキャリパー、例によってブレンボキャリパー特有のOHキット=ピストンキットという謎仕様で、ダストブーツは単体で出るものの(しかもディーラーで片側1万くらいらしい)、ブレーキのオイルシールは単体で出ずピストンとのセット(ディーラーで片側10万くらいするみたい…)でしか出ないわけです。
ピストン交換するのがベスト(というか、そもそもデッキに駆け込んでAPキャリパーに交換するのがベスト)なのはわかっているんですが、純正厨の僕としては、とりあえず一旦このキャリパーをどうにかしたい…という気持ちが強くあり、解決策を考えていました。
ディーラーには、整備工賃も標準化されておらずブレーキOHは凄い金額になる(やんわりと社外モノブロックキャリパーがチラつきますと)と言われ、どうしたものか…と思っていたのですが、ちょうど新しいビジネスの相談をしていたタイミングで、耐熱ダストブーツ&オイルシールを販売している台湾のBCBという会社と知り合い、彼らが適合する耐熱ダストブーツ&オイルシールを出せるということでOHチャレンジをしてみることになりました。(1文なっが…)
*僕が把握している限り、アウディ足立で1例、サーキット走行後にカーボンセラミック仕様のキャリパーOHをされている例は確認しています。
で、BCBの耐熱ダストブーツキットを台湾から持ってきてもらい、実際にキャリパーOHを日台メカニックにやってもらったのですが、確かにこれは大変です。
*社長特権でハイパー贅沢メンバーを用意しています(贅沢すぎて…)
OHに先立って何回か揉み出し&ピストン清掃をしてもらっていたのですが、出るわ出るわブレーキダストが…
たぎちゃんがダストブーツを外して行く様子
外したダストブーツ&オイルシールは綺麗でした。
引きずりは猛烈に出るブレーキダストも大きな原因なんじゃないかな?という感じ。
ただ、よくよく見ると弾性がかなり落ちてて、劣化もしてますね。
(外したダストブーツ&オイルシールが写ってる画像はこれしか無かった)
早いと3ヶ月~6ヶ月、少なくとも年2回はブレーキフルード全量交換していたんですが…
びっくりするくらい汚れています。
今回はブリードバルブもBCB製(素材はSUS)のものに交換しています。
BCB製のブリードバルブは工具の掛かりしろが多く、テーパーが長いのが特徴です
(写真の角度でテーパー角が違って見えますが、テーパー角は一緒でした)
で、組付け前に重量測定など
キャリパー単体(ピストン/ダストブーツ/オイルシール抜き)が約4.3kg
ピストンはおよそ600g
ダストブーツ&オイルシール合わせて、キャリパー片側で約5.0kgってとこです。
ピストンに軽くクロスハッチをつけ
(BCBが用意してくれた、このスポンジ型のヤスリが神商品でした)
(こちらも販売可能です)
ピストンにダストブーツをつけます
*BCBbrakeのYuCheくんから指導を受けました
オイルシールを先にキャリパーに組み
ダストブーツをつけたピストンを組んでいきます
①オイルシールは附属してくるブレーキグリスを塗りたくります
②ダストブーツは耐熱シリコン製なので
・ピストンと接触する部分には附属してくるブレーキグリスを僅かに塗っても良いが塗らない方が良い(汚れを呼ぶ)・ダストブーツの組付け(ダストブーツとキャリパーの接触面)にはCCiのMR20(メタルラバー)というブレーキシリンダ組付液を塗布するまでに留めておく
③ブレーキパッド組付けには一切鳴き止めグリス(耐熱シリコン系グリス)を塗らない
*絶対にパーツクリーナー/アルコール(つまり溶剤)を使わない。*耐熱シリコン製ダストブーツとの相性が最悪で、急激なダストブーツ劣化を引き起こします
*清掃時は中性の食器用洗剤で洗浄する
など、通常のダストブーツとは取り扱い方法が大きく異なることに注意してください。
また、ドイツ製の耐熱シリコン(300℃まで対応)を指名買いし、この耐熱シリコンを扱うことが出来るダストブーツ工場を台湾国内で選定、BCB専用のダストブーツを作って貰っているとのこと。(BCB刻印入り)
【注】ローターは6万km時にdbaのレーシングローターに変えていましたが、基本的には純正ブレーキパッドを使い続けてきていました。dbaのローターに変えてからのブレーキパッド交換サイクルは異常なほど短く、つまりは距離に対して猛烈にブレーキダストが出ている(3~4万kmくらい使えていたブレーキパッドが1~1.5万kmでダメに…)為、僕のTTRSで発生したブレーキ引きずりは通常は20万km前後で発生するのかもしれません。
また、僕そのものが奇妙なブレーキの使い方をする(300km/h→60km/hの減速を割と頻繁にやる)ので、この状況が一般的な状況か?と言われると苦笑いしか出来ないのが実情です。ということで無事終了しました。いやー、とてもスムーズにブレーキペダルがローターから離れるようになりました。
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BCB brakeとBCBの耐熱ダストブーツについてさらっと解説しておきます。
BCB brakeとは、台湾のブレーキパーツメーカーで、BCB(ブレーキキャリパーブースター)という名前から分かる通り、ブレーキブースターのカスタム屋さんです。(いやもう本当にここから話が盛大にズレていくんです)
BCBは元々はブレーキブースターの加工を専門としており、ブースターの負圧を自由自在に調整することで、軽いタッチで効くブレーキフィーリングを作ったり、逆に踏力コントロール型のブレーキフィーリングを作る事も可能です。
合わせて、ブレンボ規格のステンレスピストンも作っていますし、GRヤリス/カローラ用のステンレスピストンキット&チタンピストンキットも作っています。(こちらは別記事にしましょう。)
誇張表現では無い、最高のブレーキを作るんだ。というテンションがどこからやってくるのか…というのが未だに本当にわからないんですが、ブレーキ力(ちから)が足りないキャンピングカーのブースター改造からスタートしている会社のようです。
キャンピングカーのブースター改造をしていると、キャンピングカーのオーナーからスポーツカーのブースターも改造出来ない?と言われ、今のスポーツカー用ブースターラインナップが登場したとか。
FrogDriveのGRヤリス(ワイドボディキットついたやつ)に”トヨタのストローク調整型のブレーキブースターを踏力コントロール型のブレーキブースターに改造した”ブレーキブースター&大径マスターシリンダーを今回同時に取り付けており、試乗可能な状態にしてあるので、ブースター改造に興味がある方はぜひお声掛けください。
*他にBCBのブースターへの改造がポピュラーな車種として、スイフトスポーツ、E9x系BMW、アルテッツァ、GRカローラ(お痔さんのGRカローラについてます)、NDロードスター(妙立寺さんのNDについてます)、スバル系(はむくんのレガシィにそのうちつきます)、ポルシェ全部、キャンピングカー全部が提示されていますが、大体何でもチューニング出来るらしいです。ハハハ…
と、まだまだ謎が多い(日本側で情報が整理されていないだけとも言いますが)BCBですが、FrogDriveが日本の総代理店となっていますので、色々面白い提案が出来そうです。


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