2022年5月26日木曜日

アクセル全開が四駆の基本だ!;慣らし終わったAudi TT RS Mk3 (FV/8S)

”四駆を操る上で一番難しいポイントは、そこだ。”
Audi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレー

”生半可なテクニックじゃ、到底振り回すことなんざできねぇ。しかし、ひとたび手なずけちまえば、どんな車も敵わない圧倒的なハイスピードでコーナリングができる”

と、まぁアホな事を言ってないで、1000kmに及ぶTTRSの慣らしを1週間で終え、その後色々な所で乗ってみました。”鬼のように速いのに踏み切れる”、”わけのわからないアンダーオーバーが出ない”という理由もRS4/5では無くTTRSを選んだ理由の1つですが、機構的に予想される動きと実際の動きが一致しているのは非常によく練られていることがわかるポイントです。パーツコストがかかっていることは見るとわかるのですが、実際に動かしてみると途方も無い時間走り込んで練られたセッティングだということが伝わってきます。ほぼニュルスペシャルのようなセッティングになっており、一般道ではかなり硬めの乗り心地になっているので車に興味の無い同乗者からは不満しか聞こえてきませんが、攻め込んで行くと非常に懐の深い絶妙なサスペンションセッティングになっています。ブレーキングとステアでオーバーステア、アクセルを踏むとアンダーステアと自由自在にオーバーもアンダーもコントロール出来るのが大変好みです。アクセルでオーバーステアが出るような後輪優位の車も好きですが、シビアさを楽しむ年齢ではもう無いのかな…と思っています。


東名、新東名、首都高、箱根ターンパイク、芦ノ湖スカイラインと高速道路~峠まで色々な所を走って実感しましたが、この車は最初に書いた通り”GrBマシンを現代風に乗りやすくした形”という機構的なイメージと実際のイメージが完全に一致しています。前後重量比61:39という数字通り、若干のフロントヘビー感はあるもののフロントヘビー感は非常に安心感のある保険として働いてくれています。

Audi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレー
この車が最も生きるのはワインディングロードです。ブレーキングとステア操作で若干のオーバーステアを発生させながらコーナーに入っていき、出口が見えた瞬間アクセルオン、怒涛の勢いで次のコーナーのブレーキポイントに向かっていきます。アクセルオンのタイミングが早くなってしまうと若干のアンダーステアが発生します。アクセルはそのまま、ステアリング操作でブレーキLSDを最大限使いながらタイヤをこじってあげると方向の修正が可能です。とはいえ、アクセルオンのタイミングが早いと猛烈なアンダーステアが発生する為、ハルデックスの特性を把握していない人が運転すると”猛烈なアンダー傾向”というレビューが登場するのでしょう。”アンダーなのはてめーの腕だ。”
路面がどんなに悪くても、大きなギャップがあっても全開で踏んでいけるこの車は神です。

高速域では絶対的なトルクが足りません。踏み抜く領域では良いのですが、ピックアップが悪いというのが率直な感想です。タイムアタックのように自分が(ギアを)コントロール出来る領域では良いのですが、バチバチにバトルが始まるとターボラグと絶対的なトルクの低さでワンテンポ遅れます。S5カブリオレはそういった意味で非常に良く、ジキルとハイドの境界が紙1枚という感じでした。TTRSは境界が段ボールくらいあるイメージです。シフトダウン→ターボラグの流れに0.2秒くらいかかり、その時間差に違和感を感じる人も居そうです。ハルデックスのクラッチが繋がるまでの時間もあるので、結構な違和感を感じます。

サスペンションセッティングはラジアルタイヤを使っている限り全く不満は出なさそうです。サーキットアタックの為にタイヤグリップを上げるとサスペンションセッティングの変更が必要なのでしょうが、このセッティングでP-ZeroCORSAくらいのグリップ力までは対応しているはずなので、個人的にはサスペンションセッティングを弄ってこの懐の深さが消えることのほうが嫌だと思っています。

TTRSのカスタムとして、550馬力程度までブーストアップする(ECU+吸排気)方法がありますが、確かに1500万で2000万のRS6よりも速い車を作ることが出来るのは面白いのかもしれません。ただ、多人数乗車でアウトバーン無双をするRS6とニュルスペシャルのTTRSというコンセプト違いの乗り物を同じ土俵で戦わせることがそもそもの間違いな為、高速での移動速度を上げたければ大人しくRS6を買うべきだなという結論に達しています。TTRS、とにかく煩くて高速移動でめちゃめちゃ疲れます。最近はDriveSelectのインディヴィジュアルでエンジン/ミッションをAuto、マフラー音ノーマル、サスペンションセッティングAuto、それ以外はSportsにしたモードを作り、ワンタッチで静かかつ乗り心地が良い高速巡航モードとしてあります。


また、TTRSのニュルブルクリンクのタイムはSportAuto誌のアタックで7分48秒(Pirelli P Zero Corsa)とされています。現行型のRS3はPirelli P Zero TrofeoRを履いた上で7分40秒748(大本営発表)になっています。計測点を合わせて単純比較すると7:35.522になります。SportAuto誌のアタックは2代目アタッカーのChristian Gebhardtで、Audi公式のRS3アタッカーはFrank Stipplerです。SportAuto誌のアタックはトラフィック有り状態でのアタックかつセミプロドライバーなので、wikiのデータを見るとメーカー公式数値から概ね15秒~20秒くらい遅くなるようです。15秒~20秒速くなると7分30~35秒、Audi公式RS3アタックはTrofeoRなのでタイヤ分であと10秒~15秒速くなると考えると7分15~25秒と天文学的な数字です。どれくらいこの数字が凄いかというと、先日発表されたばかりのBMW M4 CSL(7:15.677)、Porsche 997.2 GT2 RS (7:18)、Nissan GT-R MY13(7:19.1 )辺りのタイムです。いや流石にねぇ…。
久しぶりにNur.のタイムを調べてて驚きましたが、昨今のメーカー公式タイムはチキチキマシンバトルすぎて何も参考にならないですね。とはいえ、面白い指標の一つであることは事実なので今後も使われて行くのでしょう。


Audi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレー
そして、この車を乗りこなす上で最も大切なのはブレーキなのかもしれません。ブレーキングが最もタイムを削ることが出来る作業であり、如何にブレーキを遅らせることが出来るかというのがサーキットアタックの最も重要なポイントになります。8podのモノブロックキャリパーはMk3後期型のエアロパーツが伊達では無く、ダウンフォースを発生していることのある意味証明になっているのかもしれません。初期制動が異常に高いものの、奥まで踏むと微妙に制動力が弱くなるブレーキも明確な意図があって設定されているように感じます。ブレーキをかけるとフロントダンパーも硬くなりますし、つまりはターンインの時にフロント荷重を減らしてリアの接地量を増やしたいのでしょう。
ブレーキを残したままターンインするトレイルブレーキングを行うのか、ブレーキを抜いてからターンインしていくのかというのも又大きな問題です。元々はブレーキとステアリング操作は被せないのがセオリーでしたが、トレイルブレーキングというテクニックが一般的になりました。最近のF1などのレーシングカーでは更に進んで、ブレーキをリリースしてから意図的に駆動を切ったニュートラル状態で曲がっていく手法も一般的になりました。
色々なブレーキの踏み方を試してみたのですが、教科書通り低速コーナーではボトムスピードを稼ぐ方向で走り、中高速コーナーではブレーキングでFF状態を作った上で思いっきりケツを降り出しながらトレイルブレーキングをブレーキLSD含めたESPシステムに適宜やらせるのが最も速く走れます。とはいえ、オーバースピードで突っ込むと薄氷の上を走るようなめちゃめちゃ気持ち悪い動きをするのであまりやりたくはありません。
ブレーキングからエイペックスを超えた所でアクセルを全開にするわけですが、アクセルを踏んだタイミングから直結状態で加速していくわけです。多少アクセルオンが早くても誤魔化しが効く後輪駆動車よりもそういった意味での誤魔化しが効かないというのが巷で言われているアンダーステアの本質なのだと思います。個人的には全くアンダーステアを感じる事が無かったので多分そういうことです。



Audi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレー
適切な操作を行うと完璧な動きをしてくれるというのが僕の率直な感想です。究極のラインを描くとドンピシャにハマります。AudiSports、本当に良い仕事をしていますね。玄人好みの車だと思います。





追記
Audi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレーAudi TTRS 8S FV Suzuka Grey スズカグレー
それなりに良いペースで走った後のタイヤ&その後綺麗に拭いたタイヤ
*タイヤの変な摩耗が無くて良いですね

GC8時代に050を使っていたのでポテンザの良さ(と悪さ)をわかっているつもりでしたが、この車に関してはS001を採用しているのは完全な悪手だと思っています。もちろんサイドウォール剛性があり、Audiの求めるソリッド感があることは否定しませんが、ロードノイズが大きく非常に不快な音が絶えず車内に入ってきます。前車のS5カブリオレで使用していたPS4sに交換すればこの問題は解決出来そうです。
エキゾーストノイズもかなり低めの低周波のような音がしているのですが、エキゾーストフラップを閉じればこの音は消えます。長距離走行時はサウンドをノーマルにしないとキツそうです。

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