2023年5月31日水曜日

全知全能の神”ガーニーフラップ”で8N TTの空力を改善した話

 200オーバーで勝負が出来る8Nというのをコンセプトに手を入れています。
ただ、現実は全く甘くなく、収束しないヨーとリフトと格闘しています。

①歴代TTの空力データのシステマティックレビュー的な記事②初代TTの空力改善方法を考えるなどといった記事をこれまでアップしてきましたが、Cartune(笑)にならない範囲で8Nの空力を弄り、如何に最大の効果を得るか…という問いに答えが出ずここまできました。



参考にするべきは間違いなくこれらの画像であり、mtmのbimotoが使っていたようなリアスポイラーが最も効果的である事は間違いありません。カリクレスからは側面からの風速が最も高くなりリフトを生むことから、リアライト上にボルテックスジェネレーターを貼るorリアフェンダー上にガーニーフラップ(スポイラーとして使うわけです)が最も効くという提案を受けていましたが中々踏ん切りがつかないまま、スケートリンクの上を走るようなフロントの設置感とリアの落ち着きの無さをどうにか運転で消そうと頑張っていました。

でも、無理なんですね。ハルデックスが効いて直結状態になれば安定すると思い踏んでみると確かに安定はしますが、高速スラロームはダブルレーンチェンジ一歩手前というレベルのムズムズ感との戦いです。外的要因でテンポがズレたら一気にスピンモーションに入る危うさがあり、中々難しい車でした。
また、180くらいまではビビリながらも出ますが、200オーバーは神に祈る感じ。ヨーが発生したらこの速度域だと経験的にスピンモーションに入るな…という危うさを伝えてきます。
まぁ何というか間違った車であることがわかる大変ヤバい面白い状況になるわけですが、20年落ちの可愛い顔で意外と速く走れるというコンセプトからは微妙に乖離しているのも事実です。


で、車を観察していると面白い事に気が付きました。この写真は既にガーニーフラップをスポイラーとして貼った後ですが、図中に白く塗っている部分は汚れているにも関わらず、塗っていない部分はかなり下の方まで全く汚れていないのです。また、純正S-lineリアスポイラーのサイドに巻き込んでいるようなホコリの付き方が確認出来、このエリアの流速がかなり速い事がわかります。確かにカリクレスが指摘する通りの領域が汚れておらず、更に空気が剥離すること無く後ろまで流れてしまっていることがわかります。
これだとボルテックスジェネレーターは使えません。ボルテックスジェネレーターは剥がれてしまう風を引き戻し、そこに出来ていた負圧がもたらす抵抗を減らす効果があるわけで、今回のようなケースは”いかに風を剥離させるか”というのがポイントになってきます。一応、エーモンの静音計画 風切り音低減フィンセットも買ってみましたが、土砂降りの中の観察ではサイドミラー周りの空気の流れを改善することが意外と難しそうです。(今後機会があれば書きますが、ミラーとサイドウィンドウのクリアランスが狭く、そもそも風がその部分を流れていませんでした。空気が入った後に行き先を失っているのならまだしも、空気が入らない状況では効果があまり無さそうです。)

そんなこんなでガーニーフラップを左右に貼ってみました。
こうなんというか、ダサい。絶望的にダサい。

で、走ってみたわけですが、笑ってしまいました。なにこれ、効く。時速30km/hから効いてる。S660にガーニーフラップをスポイラーとして貼った時も「時速30km/hから効く!」と大騒ぎしていましたが、その比では無いです。リフトが減ると当然荷重も変わり、サスペンションの動きも変わり設置感も変わるというのは理論的には理解していますが、それが面白いように体感できます。
また、空気の巻き付きが減ったことで明らかにドラッグが低下しました。風切り音が従来の半分くらいになっており、高速域でも隣の人間と会話が出来ます。

とんでもなくピーキーな乗り味を懐古主義的に楽しむ乗り物として僕は気に入っていましたが、「ナニコレ8STTRSと同じ動き…普通の車になっちゃった…」。ホイールを変えてホイール幅の増加とバネ下重量の増加により表出してしまったネガが全て消えています。なんでこういう形状のエアロが出ていないんでしょうか…心底謎です。

8Jや8SのオプションリアウィングやTTRS純正リアウィングは翼端板がついており、その翼端板が今回貼ったガーニーフラップ(スポイラーとして使ってるよ)と近しい効果を生んでいるはずです。あのリアウィング形状は必然だったと言っても良いかもしれませんね。

貼り付け位置は純正スポイラーと前面を合わせています。
運転中視界に入る事は無いのですが、とにかくダサいです。
でも、ダサさをかき消すくらい効きます。

もし、今のAudiがこの車を弄ったらどうするのでしょうか?

e-tron GTのようにリアライトをスポイラー形状にするのかな?と思いながら、もっと目立たない形状に落とし込めないか検討中です。

ノスタルジーで乗るなら全く必要の無い話ですが、現代のバトルマシンとバトルするなら…という仮想で弄っていくのも面白いですね。

今回使用したガーニーフラップとエーモンのボルテックスジェネレーター

今回の投資金額:アマゾン1480円
今回の作業時間:30分(綺麗に切るの大変だった)
8Nにつぎ込んだ額:231174円

*ガーニーフラップは全知全能の神では無いです
*車の空力は高次元でバランスされた状態で設計されています。

カリクレスニコニコ用語集
ガーニーフラップ:下記のウィングの後端につけて、抗力を犠牲にダウンフォースを増やすやつ。本当は翼の面積を増やしたいけどレギュレーションとかで限られてる時に使う。
ウィング:飛行機と上下逆の翼断面形状をしていて、上面と下面の流速の差によりダウンフォースを得るやつ。
スポイラー:流速の速いところに板を立てて妨害することで、翼としての効果を妨害するやつ。

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