2023年10月20日金曜日

初代TTの良さを言語化してみる

 TTRSと初代、ほぼ同じ距離15000km前後運転した感想です。
初代TT、なんでこんなに良いのでしょうか?


誤解を恐れずに言うのであれば、速さや絶対的な高級感に関してはMk3TTRSの方が圧倒的に上ですが、車との対話感や魂との呼応感は間違いなくMk1の方が上にあります。
デザインに関してはカッコよくてイカツイのはMk3、丸くて小さくて可愛いのが初代です。Mk2には興味が無いのですが、この2モデルは半永久的に自動車史に残って良いデザインだと思っています。円をモチーフとした初代、ポリゴンをモチーフとしたMk3、いずれも素晴らしいデザインです。


この記事を書こうと思って長らく考えていたのですが、概ね結論が見えてきました。手放すタイムリミットも刻一刻と迫ってきているので書いておきます。

このダイレクト感、意外とシンプルな点に尽きる気がします。
①ポート噴射の凝りに凝ったNAエンジンであること。そしてECU書き換えによってレスポンスが鬼のように上がっていること。
②油圧パワステの為フロントタイヤの接地状態が詳細まで掴めること。更にミシュランタイヤの方がブリジストンと比べて情報量が圧倒的に多いこと。
③ブレーキのマスターシリンダー周りの構造がシンプルな為、ブレーキペダル操作とキャリパーピストンの動きが完全に一致していること。
④アクセルペダルの操作をブレーキペダルへの入力がオーバーライドしない為、左足ブレーキが使えること。
⑤TTRSと比べるとタイム至上主義では無い味付けの為、マイルドな特性に仕上がっておりスイートスポットが広いこと。
⑥LEAR製シートと比べ、レカロ製シートの方が面接触面積が圧倒的に広く、絶対的な良さがあるということ。

Audiとしてのコストカット領域(主にシート)&快適装備導入(可変ギアレシオの電動パワーステアリング、電動サイド)&安全装備(高性能ESP、誤操作キャンセル)が車の味をスポイルしているという昨今の厄介オタクのような分析になってしまいました。

正直なところ、初代をここまで短期間に乗り込むまで、昔の車の方が良かったという話は時代に合わせていけない人間の戯言であり、現代の車も現代の車なりに濃厚な味がすると思っていました。例えて言うのであれば0~100までが均一に作られている初代TT、それと比べると正規分布のような濃さで25〜75までが作られているTTRSというような印象を受けました。ドライバーサポートを増やした結果、ドライバー側の解像度を飛躍的に上げていかないと車の中で何が起きているかわからない最近の車。そこそこの解像度でも起きている事象が全て理解出来る初代TTの方が理解に必要な労力が少なく、パッと見の味が濃く見えるわけです。最近の車は〜と言う人は意外と解像度が荒いのかもしれませんね。初代TTが512x478ピクセルのスーパーファミコンだとすれば、1280x1024のPS2画質で見えるのがMk3TTRSです。入力操作も16bitから128bitに対応しないとダメなわけですね。

こんなことを考えていたら、何となくチューニングカーが意外と乗りやすい理由がわかった気がします。幅広い区分を128等分するよりも狭い区分を64等分したほうが濃密になります。メーカーが出してくる物の方が絶対に良いはずなのに、変に弄った不完全な物の方が面白く乗りやすいというはこういうことなのかもしれません。


今も、昔も、車は等しく面白く楽しいものです。でも、その味付けや楽しむポイントはこんなに変わってきているのだな…というのが発見であり、初代TTで学べた最大の収穫かもしれません。古いクルマの良さを味わったからこそ言えます。味付けの濃度が変わっただけで今の車も等しく面白いですね。


初代TT、本当に気に入っています。ここまで気に入るとは思ってもいませんでした。

気に入っているからこそ、ある程度の所で見切りをつけることも重要だな…と考えています。

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