2025年9月21日日曜日

他社製ECUチューニングデータの上書き&ECUチューニングについて語る際に知っておいて欲しいコト(その2)

前回の記事では、一般的な用語、チューニングデータに関する軽い導入、チューニングデータにかかっているロックについてサラッと触れてきました。

ちなみに、純正のECUデータにも当然ロックがかかっており、ECU書き換えツール(及びそのソフトウェア)はそのロックを外しつつ、データの読み出し/書込みをしたり、OSのバージョンを確認しています。

今回の記事は、マップの編集ポイントの話です。各社のマップの違いがどう生まれるかというポイントの解説っぽい記事です。

前述の通り、各ツールメーカーがデータ編集ソフトを提供しており、そのデータ編集ソフトを用いる事で吊るしデータを作成出来る(つまり、概念上の吊るしデータが存在している)というところを深堀りしていきます。1番わかりやすいのでECM TitaniumのSimos10/18を参考にしていきましょう。ゴルフ7/7.5のRやGTI、アウディのS3が使用しているECUと言えばわかりやすいでしょうか?

*僕自身がファイル編集をしているわけでは無いので、ザッと概念的な所を掬う記事だと思ってください。見当違いな事は書いていないはずですが、実際にファイルを編集している人が読むと稚拙な内容になっていると思います。

*前述の通り、データの質/中身に関しての直接的な議論は本当に難しく、優れたデータが何かというのもパワーが出るデータが良いのか、爆音が出るデータが良いのか、火を吐く事が出来るデータが良いのか、結局はユーザーサイドとのマッチングが全てです。ただ速さを追い求めるデータであればそこに実測値の差というのはありますが、フィーリングまで含めると〇〇のデータはAさんには気に入って貰えるかもしれないけど、Bさんには全く合わず…といった事が多々発生します。真に乗りやすいデータが全ての人にとっての正解じゃないというのはマジで難しいです。


わかりやすいので、ECMチタニウムのNewsレターを持ってきましょう

こんな感じでECU毎の車種一覧、編集ポイント、編集ポイントの解説が成されています。

細かい編集点は実際に確認して頂く事にして、(編集後に整合性が取れるかどうかは別にして)こういったパラメーターが編集可能というのは非常に興味深いポイントです。

ここから先の編集ポイントは言語化が非常に難しく(そして僕も実際にファイルを編集しているわけでは無いので)、雰囲気解説要素が強くなります。

*自然吸気エンジンの車はターボ車とくらべて編集ポイントが少ないので、ファイルメーカー毎のパッと見の差は無い印象を個人的に持っています。シンプルに対応オクタン価を95RON→98RONに変更し、水温マネジメントを調整するイメージです。


①ターボ車でパワーを出すためにはシンプルにブースト圧を上げる必要があります。
<この辺りから各種リミッター数値が上がるため、人間が車の異変に気を使う必要が出てきます。>
②燃料を多く吹けばパワーが上がるのでラムダ補正を弄ります。
③燃料を多く吹けばパワーが上がるので燃料噴射量を上げます。
<ここまでがサブコンでもやってること>
④トルクリクエストを誤魔化します(⑨が出来るなら不要)
⑤レブリミットを引き上げます
<多くの吊るしデータがここまではやっている気がします>
⑥各回転数/各ギアの空燃比や点火時期を編集していきます
⑦スロットルマップを弄ります
⑧水温マネジメントの領域を弄ります
⑨TCUを調整してトルクの整合性を取るようにします
<ケルティックはこの辺りまで触っているパターンが多い印象があります>
⑨走行モードごとにマップを変えます
<データの整合性を完璧に取るのが難しいようで、ここまでやるチューナーは結構少数派です><Revoは一部やってますよね><CelticもSimos18限定で走行モード毎のマップ切り替えをやっているようです>

*もちろん、ここに挙げたのは一例かつ羅列なので、実際の編集順序や編集箇所は様々です。
*(再掲)僕自身がファイル編集をしているわけでは無いので、ザッと概念的な所を掬う記事だと思ってください。見当違いな事は書いていないはずですが、実際にファイルを編集している人が読むと稚拙な内容になっていると思います。

速い/速くないはさておき、サブコン程度の編集範囲に留めておくことも正解、逆に弄り倒すことで顧客のニーズに答えるというのもまた正解なわけです。

編集範囲が増える=純正マップからかけ離れていく
→100%安全圏から徐々に外れていく為、人が常時機械の状態をモニタリングしないといけなくなります。

一例として、馬力を上げる為にブースト圧を上げると燃焼温度、排気温度が上がります。つまり、水温や触媒の温度が上がり、(全開を続けているとある程度のところで)本来ならブースト圧を下げる制御がかかるところ、多少許容範囲を広げてフェイルセーフの介入を遅めます。(もちろん個体差はありますが)触媒は無くてもガス検に通るくらいには綺麗に燃焼する為、多少目をつぶることは出来ますが、水温(油温)に関しては必ずキッチリモニタリングをする必要があります。
*純正の水温計/油温計のモニタリングで十分ですが、油温120度超えたら撤退する覚悟は必要です。
*オイルもジャカジャカ入れ替えていかないといけないので、メンテナンスへの意識持つ必要があります。1.5万kmそのままで乗れる純正マップとは違います。


「ECUチューニングをすると壊れる。」「◯◯のマップはよくエンジンブローする。」という話をよく聞きますが、僕が個人的に収集した情報では(エンジンブローさせた方から聞いた範囲では)ブローした時はやはり油温が高かった(高いことを無視してそのまま走らせた)という話がほぼ100%であり、つまりは人が壊しに行っているだけ…というパターンが多いですね。
*ただ、このパターンでも純正状態であればそもそもそんな温度まで油温は上がらないので、客観的な視点を持って踏めない人はやらないほうが良いですね。
*結局、純正状態だと250km/hに設定されている最高速をぶっちぎって、メーター読み290km/hオーバーまで行けるようにするにはある程度の覚悟も必要…という話です。
*うちのマップは安全!と言うチューナーは居ますが、普通に乗る分にはどこのマップも大差無くそこそこ安全ですが、限界領域までプッシュするのであればどこのマップも同様にモニタリングが必要ですね。


また、これはソースが無く、僕がHQとやり取りをしている中で議論して学んだのですが、編集点を増やしまくるというのも難しいようです。CelticTuningによると、Simos18系はデータの破綻無しにPops&Bangsを入れるのが凄く難しいようです。また、走行モード毎にマップを用意して切り替えるようにするのも、フェイルセーフの介入ポイントが非常に不明瞭になることが多く、”出来るけどやらない”という選択をしているチューナーが多いですね。(CelticTuningもそう)
*Pops&Bangsはスロットル操作ー実際の開度のアンマッチが大きくなり、ドライバビリティが物凄く低下します。また、触媒が一瞬で死ぬので、CelticTuningも僕も物凄く否定的です。

こういった、どこまで編集する/しない。というのは各チューナーのノウハウであり、尊重するべきだ…というのもわかってきています。各チューナーが用意しているオススメStage1、ちゃんとテストされています。


本当は各社、どのパラメーターを弄っているのか…というのをざっと公開してくれるとわかりやすいのですが、消費者的には”より多くのパラメーターを弄っているデータの方が良い/得な気がする”というのが難しいですね。
*そんなことは無く、弄っているポイントが少ないデータには、そういうデータのメリットもある…というお話でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿