業界では割とタブー視?されているというか
言語化されていない内容を言語化しておきます。
市場には数多くのECUチューニングサービスがあります。無形商材を扱っている為、比較や分析が本当に難しいサービスです。また、実際にインストールされたかどうか…というのもパッと見ではわからない為、本当にソフトが入っているのかどうか…という議論も発生して別の怖さがあります。(逆に、わかるものはディーラーの診断機に繋いでも正常に表示出来ないなど、別の問題が発生することがあるようです)
ここで、今回の記事を書く際に、幾つかの用語を定義付けておきたいと思います。
・汎用ツールメーカー(ツール名)
Alientech(Kess3)、AUTOTUNER(AUTOTUNER)、Magicmotorsport(Flex)、DIM SPORT(GENIUS, TRASDATA)、Flashtec S.A.(CMD Flash)が有名かな?ECUTEKとかもありますね。
・データ編集ツール
WinOLS、ECM Titanium、Race EVO、StageX、bit edit、Swiftec、Schiller tuningなど
・データ屋
CelticTuningなど
・大手チューナー
APR、Revo、Racingline、GIAC、MTMなど
・施工代理店
弊社とか
・OBDで(ry
OBD経由で施工すること
・Bench(ベンチ)
ECUを取り外してピン刺しすること
・Boot(ブート)
ECUを殻割りして抵抗を差し替えたり、ピンを落として接続すること
・VR(バーチャルリード)
データをECUから読み出さず、サーバーから同一データをダウンロードすること
今回はECUチューニングに特化して解説をしていくので、色々すっ飛ばして本題に行きましょう。
まず、ECUチューニングには3タイプの方法があります。
・大手チューナーが自社で開発した(ことになっている)ツールを使って大手チューナーのデータを入れる
・汎用ツールを使い、データ屋のデータ(もしくは自社/自分で作ったデータ)を入れる
・汎用の通信ケーブルを使い、オンライン上にあるデータ(もしくは自社/自分で作ったデータ)を入れる
また、データの質/中身に関しての直接的な議論は本当に難しく、優れたデータが何かというのもパワーが出るデータが良いのか、爆音が出るデータが良いのか、火を吐く事が出来るデータが良いのか、結局はユーザーサイドとのマッチングが全てです。ただ速さを追い求めるデータであればそこに実測値の差というのはありますが、フィーリングまで含めると〇〇のデータはAさんには気に入って貰えるかもしれないけど、Bさんには全く合わず…といった事が多々発生します。真に乗りやすいデータが全ての人にとっての正解じゃないというのはマジで難しいです。
この辺りから徐々に本題に入っていきますが、いわゆる吊るしデータ(概念)というものは明確に存在します。汎用ツールを販売しているメーカーはそれぞれがファイル編集ツールを同時に販売していることが多く、そういったツールの機能の中に吊るしデータの作成、オプションのオン/オフ、特定の機能の追加も可能です。ただ、これは各社のECUチューニングが出してくるピークパワー/トルクが等しい事とは必ずしも同じでは無く、ピークパワー/ピークトルクは理論的(構造的)に上限が決まってしまっているという話です。
つまり、各社のマップの違いは、上限として見えているピークパワー/ピークトルクは同じではあるものの、そこに至る過程が違うというシンプルかつむちゃくちゃ奥の深い話になっています。より低回転でブースト圧をオーバーシュートして下からトルクを出すのか、トルクカーブの立ち上がりは弄ることなくナチュラルなフィーリングでトップエンドまで回っていくパワー特性にするのか、この辺りが各データ屋の"味付け"なわけです。
また、概念上の吊るしデータはブースト制御が主となっており、オクタン価に合わせた調整や水温マネジメントの編集、スロットルマップは各データ屋の"味付け"領域になっているようです。
多くのデータ屋がツールメーカーが配布しているデータ編集ソフトを使っている(もしくはCelticのように編集ツールを自社で用意して、バイナリデータを編集している)ようです。また、他社のデータは吸い出しが出来る限り、データ屋は解析&改変が出来る為、何らかの形でプロテクトをかけているケースがあります。ただ、プロテクトをかけているのは大手チューナーのデータが多く、汎用ツールを使用している場合は暗号化などで一部が見えなくなっていることもあるようです。
プロテクトをかけているチューナーとして有名なのが北米系のチューナーです。
名前を言ってはいけないブランド化している最大手は当然自社製のツールを用いてデータの読み書きをするのですが、ECUの根本的な制御ロジックを書き換えているという噂があります。技術力は圧倒的ですが、他社に盗まれないようなセキュリティが何重にもかかっています。シードキーの違い+読み出し無効化+独自署名で三重ロックをかけているような情報がオンラインフォーラムにはチラホラあります。
弊社でも、汎用ツールを繋ぐとエラーが出る事&施工店でノーマル戻しが出来なかったケースは確認しており、海外フォーラムではディーラーの診断機でのアップデートも難しいケースがあるとされています。
過去に強引な?上書きを試しているのを見ていた事があるのですが、書き込み中にエラーが出てフリーズし、車が文鎮化しました。ECUのbrick(一切通信出来なくなること)では無かったので、エラーを消して再度純正データ相当のデータを書き込むことで何とか復帰していましたが、純正データを書き込んだはずなのにStage1は残っており?上書きが出来ないことを確認しています。(上書き出来ていた説もあり、要検証です。)
北米ではこういった"チューナーの権利"がキッチリと保護されているようで、GIAC(Garrett Integrated Automotive Corp)も何らかのロックが掛かっているという話はチラホラ出てきます。ただ、調べていくとGIACのデータは汎用機で読み出し/書き込みが出来るようで(検索して頂くと8JTTRSで具体例が出てくるかと)、同じ8J TTRS(名前を言えないStage2)が同じ汎用機でデータアクセスが全く出来なかったのと比較すると、プロテクションレベルが低いようです。(と、書いていますが、発売国ごとにセキュリティレベルを変えている可能性もあるので、この辺りは個体差がありそうです…としておきましょう。)
同様に、北米のチューナーではありませんが、Racinglineのoem+も何らかのロックがかかっている噂があります。
逆に、大手チューナーとしてこういったプロテクションを一切かけていない事を名言しているのがRevoです。
汎用機で書き戻せるよ!と公言しており、大変親切な大手チューナーです()
汎用機を使用しているECUチューニング業者のデータの上書きは僕の観測範囲では特に問題無さそうです。弊社ではリザルトマジック(オリエントワークス)、デジタルスピード(モーターフィールド)の上書きが出来る事は確認しています。逆に、弊社の扱っているCelticTuningのデータも汎用機(Kess3, AUTOTUNER)を用いて書き込みを行っている為、上書きが可能です。
そんなこんなで、チューニングのステージを上げたい場合、他社のデータが入っていると要注意だねという話がまずは1つ目の重要なポイントです。ただ、自社のデータは書き換えられないとされていても、適切なプロセスを経ることで絶対に書き換えが可能です。その見極めが非常に大事です。
*プロテクションがかかったブランドのデータを書き換えたい場合は、ECUを物理的に取り外してBench/Boot接続し、一度ノーマルに戻したうえでチューニングファイルを書き込むことで上書きが可能です。弊社では追加作業工賃を頂いております。
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