2023年3月17日金曜日

3.2クワトロに2000kmくらい乗っての感想

この車の特性を一言で言うなら、リフトの多い直結四駆。というのが結論です。
ドアを開けて乗り込むと思っていたよりも中は広く、純粋な広さはMk3TTよりもあるのでは無いでしょうか。

とはいえ、シートポジションの調整幅は意外と小さく、160cm未満の人は間違いなくドライビングポジションが取れません。ミラーは小さく、タイヤも現代の車と比べると内側に引っ込んでいる為サイズ感を掴むのが本当に難しい車です。

エンジンをかけると、それなりに重低音が効いたビートと共にVR6が目覚めます。心地よい音は入ってきますが、不快な音はしません。

ハンドルは死ぬほど重いです。片手では回せない重さの車、久しぶりに乗りました。ブレーキは今の初期から効くブレーキでは無く、踏力感応型の奥で効くブレーキです。


と、謎の試乗記は求められていないと思うので、現実的な所を書いていきましょう。

まず、乗り心地は悪いです。ただ、非常にしっとりと動く脚で、ホットハッチ系の動きというよりは911系のグランドツーリングもいけるスポーツカーのサスセッティングです。間違いなく車重も効いており、TTRSの物理的+機構的軽さと比べるととてつもなく重さを感じる車です。

既にチラッと空力の事を書いていますが、ぬおわkm/hを超えた辺りから妙な浮遊感が出てきます。サスペンションの動きを見ていると接地していますし、そこから更に踏んでふわわkm/h超えても接地していることは解るのですが、地面に張り付いて走るタイプの車ではありません。ハルデックスというシステムの構造上、タイヤグリップは多いわけですが、これが純粋なFFだったらリアの安定感が更に無いわけですから、結構怖いと思います。手っ取り早くこの状況を改善するのであれば、リアのウィングの更なる大型化+フロントにラバーカナードを装着するのが現実的でしょうか?
ただ、納車時にズレていたフロントアンダーパネルをアウディディーラーで付け直して貰った所、猛烈に左フロントのリフトが減ったので、このアンダーパネルめちゃめちゃ効いています。というか、リフトに上げてチェックするとわかるのですが、このデザインで成立させるために物凄く凝った構造+形状のアンダーパネルがフロントからリアまでついています。リアマフラーをリアディフューザーにする発想はこの頃からあったようで、マフラーがかなり整流をコントロールしているような気がします。マフラー下にGDB純正ディフューザーのような後付リアディフューザーを着けることも一瞬検討しましたが、マフラーにどうボルトオンするか…というのが難しい問題になりそうで、現在検討中です。(多分一生検討中だと思う)

調べると、今も大型リアスポイラーは販売されており、ステー含め何かしらの対策は取れそうです。ただ、現実的な問題として純正ルックを崩したくないと思っているので(デカデカとステッカーを貼った人間の言葉とは思えない)、どこでどう帳尻を合わせていくか…は大変大きな問題です。理論的には3枚目のスポイラーのようにリアハッチの端にGTウィングをマウントするのが正しいと思うのですが、そこまでやるならDTM仕様にしてBMWエンジンを載せないとダメですね。(ええ、ダメなのは僕の頭です。)


で、2000kmほど乗り回してみたのですが、この車は多分結構真面目にどんなステージでもそこそこ速いスペシャリティクーペを作ろうとした形跡が確認出来ます。
低速域でアクセルを開ければリアが直結になって安定感のある回り方+加速をしますし、高速域でもかなり安定してラインを選んで走る事が出来ます。無茶苦茶な運転をし始めると、もっとパワーがあればなぁ…とか、もっとブレーキ容量があればなぁ…という話は当然出てきますが、そういう車じゃないの一言で全てが片付きます。

中央道、東名、東北道を走ってみましたが、この車が生きるのはダラーっと走れるワインディングですね。レスポンスの良いエンジンとギアボックスを楽しみながら、ちょっとだけ気持ちの良いペースで走るのが良さそうです。
個人的にはこの車をオフロード(フラットダート)でダートラ的に振り回したらめちゃめちゃ面白いだろうなぁ…と思っていますが、如何せんパーツコストが高いので中々現実的では無さそうです。ただ、直結特有のスライドコントロールの容易さ+ショートホイールベースかつ小さなサイズは振り回せるのでめちゃめちゃ面白いと思います。

Mk3に至るまで結局改善されなかったTT最悪のコストダウンポイントが個人的にはブレーキだと思っています。排気量毎に違うフロントブレーキキャリパーを採用しているようですが、基本的には同じ排気量であればFFモデルも4WDモデルも同一のブレーキキャリパーを使用しています。FFと4WDとでざっくり150kgほど車重が違うのに、ブレーキ容量が同じというのは怠慢な気がします。個人的にクワトロスポーツをそこまで評価していない所もソコで、本来なら3.2L用のキャリパーを使うはずだったのに、ブレーキは結局1,8Lモデル用をそのまま使っているというところはトラックデイカーとしては微妙だと思っています。最終的にボクスター用のブレンボモノブロックを流用するブラケットやキットが大量に出ていましたが、確かにそれはそれで理論的には正しそうです。
クワトロスポーツは軽い軽いと言っても1400kg、FFモデルは1300kg。この100kg差は大きいと思います。
*以前は大量にあったのですが、現在はほぼ手に入れることが出来ない幻のチューニングアイテムと化しているようです。
3.2はRS4と同じブレーキシステムだという触れ込みですが、割と頭を使ってブレーキマネジメントをしないとフェードしそうな空気感があります。おいおい来るであろうブレーキ交換の際は純正ローターで良いかな?と思っていましたが、これだと社外品のローター+対応温度が高めのメタルパッドを入れても良いのかもしれません。とはいえ、片押しキャリパーの限界だとも思うので、これはこんなもんと諦めた方が良さそうです。

結論、非常に良いクルマではありますが、最新のハイパフォーマンスカーと比べるとダメです。でも、あの時代特有の味がめちゃめちゃ濃いので、味を楽しむにはとても良い一台だと思います。


と、そんなこんなで大変満足して乗っていますが、
唯一物凄く不満なポイントがあります。

燃費が悪すぎるんだわ…都内で乗るとリッター5~6kmなんだわ…

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