中々1人で適切なポジションを出すのは難しいですね…
自転車のフィッティングに近い物を感じます。
レカロが公開している一般的なシートポジションの合わせ方は上記の図の通りです。
①シート前後位置(ペダルを思いっきり踏んだ時に微妙に膝が曲がる距離)
②バックレスト角度調整(ステアリング位置に合わせる;テレスコ付の車は???)
③可能な限りシート高を高く(高ければ高いほど視野が広がります)
④座面角度の調整(軽く太ももと触れる)
③可能な限りシート高を高く(高ければ高いほど視野が広がります)
④座面角度の調整(軽く太ももと触れる)
⑤座面長さの調整(太腿裏に2cmの隙間)
⑥ランバーサポートの調整
⑦サイトサポートの調整
⑧ヘッドレスト高の調整(頭と同じ高さかつ2cm程度の隙間があるように調整)
他の趣味で偏執的にフィッティング論を考察していたので、車でも…と思ってFIAの資料なども見てみたのですが、FIAのMedical記事にすら"The seating position, although very specific to the vehicle, is difficult to define generically. This is because there is no consistently accepted way of measuring the seating angle, as the curvature of the seat varies from series to series."と書かれており、統一されたデータ計測の難しさが記載されています。計測点が統一されていないということですね。
太ももと背骨の角度に着目すると、RS-Gは90度でRMSは95度に設定されているようです。RMSはさらに胸から上の背もたれの部分を4度起こすことでアイポイントの補正を行っているそうです。
わざわざ書きませんが、フルバケにするなら1番低い位置にしないと!みたいなアホな事を言っている人は相手にしてはいけません。重心高を下げる為に椅子の位置を下げるというのは勝ちに行く時の最後の手段であって基本的にはアリエナイ話です。
FIAが公開しているデータを見るとラリーポジションにおける背もたれは概ね80度くらいの角度に設定されることが多いようです。RMSをフラットに置いたと仮定するとこの計測だと85度換算になるのでしょうか。座面と背面の角度が固定されているので、その丁度よい妥協点を探すのはかなりの難作業になります。
また、別のデータによると、シート表面に詰められたパッドが不適切であればあるほど怪我の程度が深刻化するというニュアンスも確認出来ます。厚めのパッドに身体を押し込むRS-Gよりもパッドが薄く、よりシート本体と身体を近づけたいRMSは設計が新しい事がわかります。
全くわからないので8S TTRSのシートでデータを取ってみたのですが、座面の角度は後ろ下がり21度〜前下がり(現実的では無いので具体的な数は計測していません)になるようです。8N TTの場合は後ろ下がり18度〜ほぼ水平ポジションまで調整出来るようになっています。(iPhoneでの簡易計測なのであくまでも今回使う一時的な数字だと考えてください)
リアの調整穴を最も高い位置にした場合、RMSは理論上後ろ下がり22.5度〜後ろ下がり31度前後の範囲で調整可能となります。
追記;実測したら17度〜31度でした。
で、今はRMSの座面が後ろ下がり24度になるようなポジションにしてみました。穴1つで1.5度変わるようで22.5度/24度/25.5度と試してみたのですが、ちょっと太腿部分が持ち上がってないと体重がフルバケ全体に分散されず微妙な気持ちになります。座り心地だけ議論するのであれば後ろ下がり28度くらいが最も快適かもしれません。起こすと、振動や衝撃がかなりダイレクトに伝えられる為、車によってはキツいシチュエーションもあるかな…という印象を受けました。ただ、これは車の動きがより詳細に感じられるようになっているわけなので本来のバケットシートの特性とマッチしているのだと思います。
シートポジションをあれこれ模索していて気がついたのですが、背もたれの角度と座面そのものの角度それぞれ車にかかるGやヨーを感知する際に使われる人体内のセンサーが変わってきますね。座面が前上がりになると太腿を利用して減速Gを感じるようになり、検知精度が落ちる気がしますが、三次元のヨーは感知しやすくなるように感じます。逆に座面がフラットに近づくと減速Gがかかった時に身体が前方に放り出される感じが強くなり、5点式シートベルトが欲しくなってきます。シートポジションはシートベルトのタイプにも大きく左右されるんだな…というのを身をもって体感出来たのは非常に勉強になりました。
で、そんなこんなで今は下から3個目の穴(座面角は後ろ下がり24度)で試しています。とりあえず元々のポジションに最も近い雰囲気に設定してみました。こんなもんかな?と思っていますが、微妙にハンドルが遠いような気がしているので、本当はもうちょっと起こした方が良さそうな気がしています。ただ、これ以上起こすとVW/Audi特有のかなり近いブレーキペダルとの相性が微妙に悪くなり、ペダル操作時に太腿がかなり浮き上がってしまうのが大きな難点です。本当は座面角を後ろ下がり22.5度(フロント全下げ/リア全上げ)にして、それに合わせてポジションを調整したほうが良いのかもしれません。調整はそんなに大変では無いので来週くらいに22.5度ポジションも試してみようと思っています。
フルバケの位置調整サービスをオートテストやジムカーナとセットで提供してくれたらめちゃくちゃ楽なのになぁ…というのが今回の学びでした。
*気になってRMSの装着例をオンラインで検索していたのですが、割とちゃんとしたお店は皆さんリアの取り付け位置を最も高くして、座面の角度が後ろ下がり22.5度か24度になるように組んでいるような印象を受けています。助手席に入れるのであれば後ろ下がり30度前後にして快適性を確保したいですが、運転席だとやっぱり起こし気味にしたいですよね…
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